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【インタビュー:大和田夏希】
ぱふ1982年8-9号「特集竹宮恵子part2」

ぱふ1982年8-9号「特集竹宮恵子part2」
発行日:1982年08月01日
出版社:雑草社



今後も友人のはしくれに
大和田夏希
(画像2枚に続いてテキスト抽出あり)





今後も友人のはしくれに
大和田夏希

ーー竹宮さんと知り合ったきっかけはいつ頃、どういうことで?

大和田 僕が中学生で、まだあいつがデビューする前、COMなんかに応募している時でした。

ーー「ここのつの友情」あたりですか。

大和田 そうそう。偶然見つけたって感じだったんだけど、『週刊マーガレット』にカットと住所が載っていた。「ここのつの友情」が面白かったと手紙を出し、返事が来て交通が始まり、 僕が17歳位の時東京で会って、それからのつきあいですね。竹宮恵子曰く、内容はともかく長いだけ長い。

ーーお会いしてからは?

大和田 あいつはもうプロになってて、僕は手塚治虫先生の所に入る前だったかな...。ボーッとしていた時期に丁度彼女が〆切り間際で手伝ってくれとかいうので、ベタぬったりしました。あと行くと風呂入れてもらえるからとか、メシ食わしてもらえるからとか(笑)。

ーーその頃の印象は?

大和田 なんかやせてて小さな人だなと思った位で、外見はね。

ーー内面的には?

大和田 内面的にすごいなと思い出したのは、だんだん相手をしてもらっているうちにね。

ーーどういう所が?

大和田 抱容力がすごいなって思う。僕は、すごいなって思ってから竹宮さんのまんがは殆ど読まなくなった。最近ちゃんと読んだのは「地球へ...」位かな。彼女、自分でまんがは表現だって言っているから、本人知っちゃうと現実の彼女の方が面白いでしょう。今度売り上げ伸ばす為、全部単行本揃えます、と嘘ついたりして!(爆笑)。

ーー現在のおつきあいは?

大和田 電話でね。色々話をしますよ。アホ言うとバカにされたりとか。大体、こっちが煮つまった時などほぐしてくれたり、落ち込んだ時に励してもらえる人とかの中で、一番安心して電話をかけられる。つまりは甘えている訳です。

ーー今までのおつきあいの中で、竹宮さんらしい行動、発言などはありますか?

大和田 一度、意外だなと思ったのは随分前ですけど、クリスマス・パーティをやった時。自宅の台所でおにぎりを作ってた。まじまじ見てたら恥ず かしそうな顔してるのね。普段あんまり恥ずかしそうな顔しない人だから感心して見てたら、さすがに向こうも赤い顔して照れてね。あ、この人女なんだなと思いましたね。あと「ファラオの墓」を描いている時、サイン会する事になっていて、サクラで来いというので(笑)。彼女の仕事場へ早目に行ったら丁度化粧しててね。僕は彼女が化粧してるのを初めて見て、えらく感心してたらやっぱりその時も、恥ずかしそうな顔してたね。

ーーすごくまじまじと見たんじゃないですか(笑)。

大和田 だって不思議じゃない。いつ「見ても髪ふり乱して仕事しているじゃない。そういうのばっかり見てたから、おにぎり作ったり、化粧したりとか一般的なことされるとやっぱり不思議で。あと「地球へ...」の出版記念パーティの後で、部屋に遊びに行って一人で飲んでいたら、『あんまり飲むんじゃない。体こわしてあんたがこけたら、あんたんとこみなこける。って怒られてね。一諸にいたマガジンの人が「なんかお姉さんみたいだな」って笑ってた(笑)。

ーー今まで付き合ってきて、竹宮さんというのは、どういう存在の方ですか。

大和田 すごいなーという印象。尊敬心が強い。僕の方が年下で「おい」と呼んでも、全然気にしないっていうのか、そういう所を気にしないで、受け取めてくれる寛容さがあるんです。だからきっとあの人は、いいおばあさんになるだろうと思うし、住んでいる場所が近ければ子供を連れてって、教育に参加してほしいなと思いますね。

ーー竹宮さんの今と昔との違いはありますか?人間的、作家的に。

大和田 作家的にはよくわからないけれども、人間的な所ではどんどんいい人になってくるなあと。あといい意味で変わらないね。偉ぶったのも見た事ないし、押しつけがましいこと言わないし、本当に優しい人ですよ。

ーー「結婚しろ」みたいなことおっしゃいますか?

大和田 よく、わざと「いい男みたいなのいないのか」みたいな事聞くけど。(本人は電話で、30過ぎるとひらきなおったと言ったことがある。)

ーー竹宮さんはもてるみたいですね。

大和田 いゃ、もう男が相手にしないんじゃないか。顔ももうひとつ良くないし、スタイルは激しく悪いし。

ーーそんな事ないですよ。デビュー当時の担当の方は、とてもきれいでドキドキしたっておっしゃってましたよ。

大和田 えっ!?(しばし絶句)僕が会った時は、やせてて目がギョロンとして小さくて、ブスな女だと思ったんだよね。本当に。(全力で声をしぼり出す) 彼女がきれいになったのは、売れて充実してから変わったと思うね。ふくよかになって、内面的なものが割と顔に出てきて、自信の恐しさですね。(今は太りすぎという感がある。最近繩飛びとヨガをやってるらしい。)

ーー大和田さんと竹宮さんの関わりは面白いですね。ざっくばらんで。

大和田 殆ど何でも言いますよ。あいつもひどくてね。僕本名守というんだけど、電話するでしょう。「あっ守ちゃん」とか言っといて、ノンタンが誰?とか聞くと、受話器をきちんと押さえずに、男っぽい声で、「守のヤツよ」とか言うんだよね。ひでえ野郎だななんて思ってさ。それと「ガラスの迷路」の主人公がマモルで僕の名前を使った のね。で、ファンクラブの子にモデルがいるって言ってから、現実はすごいからあなたは(おれの顔)ファンの前に顔を出さないように、とかひどい事言うんだよね(笑)。(いったのノンタンだったかな!?)

ーーモデル料を請求してみたら?

大和田 いゃ、随分お世話になっていますから。僕が10代の頃、ウチのカミさんとかけおちしようとした時、おケイに初めてお金を借りたのね。仕事がなくて返せなくって、やっと返せる能力がついたのね。で、「あれ借りてるんだよね」って言ったら、「いや、結婚祝いにやった筈だ」と言われて。記憶がなかったんだけど、なんかすごい感謝しました。金を越えた借りができちまったと。

ーーこれからの竹宮さんに一言。

大和田 あの人頑張ってるから、こっちも恥ずかしい仕事があんまり出来ないな、というひとつの励みになるんじゃない。僕からしても、そういうのって大きいんです。新連載始まったら、本を買って来て「こんな変なの描き出したのか」と割と気になるし。手塚先生が雑誌から遠のくと、やっぱり漫画界の巨匠なのだから、やはり先頭を切ってやってくれないと弟子は気をもんじゃう。そういう感覚で、竹宮さんというのもずっとやっててほしいと思うのね。まあ病気はしないだろうから、豚みたいに食っているだろうし(笑)。体こわしちゃったらしょうがないものね。だからセーブしながら頑張ってほしい。あいつが頑張ってるから、僕もその1/10程度は頑張らなきゃと思うでしょう。平たく言えば、今後も友人のはしくれに加えてもらえたら嬉しいですね。漫画家同志とか、そういうの抜きで、独りの人間として。持ち上げたところで、ハイ、手打ち……。

電話インタビューより構成

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