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【永井豪インタビュー:ダ・ヴィンチ1997年07月号】

資料提供:https://medaka.5ch.net/test/read.cgi/gcomic/167702...



ダ・ヴィンチ1997年07月号
発売日:1997年06月06日
出版社:メディアファクトリー




マンガ家インタビュー
まっとうな読者が愛した境界上のマンガ家たち

永井豪
マンガを描くことは存在証明
とにかく楽しくて仕方ないんです
(図版に続いてテキスト抽出あり)



僕のマンガ家としての人生は、編集さんとケンカするところから始まったんです(笑)。当時の世間では既に「マンガとは、こういうもんだ」という既成概念が相当できあがってたんですが、僕はみんなが思ってることの逆を狙って、編集さんにダメと言われたことばかりやっていました。言われた通りのことをやっていたら新しいものはできないだろうなと思っていたし、自分の描きたいものと編集さん側の求めるものが違っていることは最初からわかっていましたから。『バイオレンスジャック』で、ジャックが子供の首をハネるシーンを描いたとき、まず担当の編集さんが、やめてくれって言ってきたんだけど、「これをやらないとジャックじゃなくなっちゃうから」って突っぱねたら次に副編さんと、編集長そして局長とどんどん人が増えてきました(笑)。それでも、「ダメなら白紙になるよ!」って言って突っぱねてね、こっちは、連載切られてもいい覚悟でやってました。よくマンガ家として続いてるなと思いますね。

基本的に自分にとってマンガを描くということ自体、生きていることの証明、存在証明のつもりでしたから、儲けたいとか、有名なマンガ家になりたいとか、そういう欲もなかったんです。ただ自分の描きたいものを描くことによって、自分が何だったのか、自分という人間が何であるのか、ということを証明していきたいという願望が強かった んです。だから、それ以外のことはどうでもよくて、『ハレンチ学園』でも何でも「自分はこういうのが面白いんだ!!」と思うものを描こうと。その思いだけでやってきたんです。他人が何を面白がるのかはわからないし、何を描けば喜んでくれるか?なんて考えない。ただもう感性で生きてきたところがあって、いまだにそういう部分は強いですね。だからこそ自分をつらぬけたんだとも思います。

最近は、編集さんもすごくマンガを勉強してるから、こちらとしても意見を聞かざるを得なくなってきてるところもあります。編集さんがプロらしくなってきた分、マンガ家の自我が抑えられちゃって、馬鹿馬鹿しい面白さがあるものや壊れたようなマンガが出にくくなっているような気がします。 一見壊れたような作品でも、ふとその裏の計算が見えてしまったりね。昔は、特に僕なんか、なぐり描きのように描いてたからとにかく壊れまくってて、今見ると恥ずかしいようなのもありますよね。でも、壊れ方が尋常じゃなかったからそれがある種のパワーになってたんじゃないかな。キチンとしたものをよしとするか、駄菓子的なくずれたものをよしとするかは時代によって変わるでしょうが、そろそろそうしたパワーのあるものが必要とされているような気がします。

編集さんにも自負があって、マンガ家が気付かないいい面を引き出してくれてるのは確かなんですが、ただ、ある部分を引き出すためにある部分を削ってしまっていて、その削られてしまった部分に結構ヘンな面白い要素があるのかもしれないと思っています。キレイな形に整えられていない原石をそのまま出す面白さが絶対にあることを知ってほしいですね。

『デビルマン』は、自分の深い所から出てきた作品で、よくわからないままガムシャラに描いたものですが、単行本になってみて、「これは描かなきゃいけなかった作品だったんだな」と思いました。これを描けて、やっとマンガ家になれたような気がしましたね。『デビルマン』に影響を受けた人たちが、自分なりの『デビルマン』を描いてく れるのも刺激になります。

マンガって理屈でどう言っても所詮好きか嫌いかしかないから、若いマンガ家には好きなものを描いてほしいですね。

僕も、まだまだ無茶しようかなと思ってますから(笑)。


ダ・ヴィンチ1997年07月号

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