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【岡田史子「西谷祥子とSFマンガ」】


少女SFマンガ競作大全集
出版社:東京三世社
発行日:1978年11月25日


資料提供:https://medaka.5ch.net/test/read.cgi/gcomic/164452...


岡田史子「西谷祥子とSFマンガ」
愛にあふれた魂



西谷さんととお会いした初めはいつでしたでしょうか。
何しろお金がなくてなくてみじめな時期でしたので、お寿司をごちそうしてくださったことは忘れられません。
また高円寺のお仕事場でおやつにいただいたミカンの味も──あの後同じ味のミカンに出合ったことがありません。高いものだったんだろうなあ。
西谷祥子さんは写真ぎらいでその素顔を知る人は限られているそうです。
なんと私は、その限られた人のひとりたる栄誉に浴していますので、この機会にせめて言葉で、彼女のたたずまいをご紹介しましょう。
何しろ美人。と、こう書くともうそれでおしまいとなり紙面が残ってしまうので──そう、色薄黒く鼻高く、目はぱっちりと、口紅はピンク系がお好み。お金持ちの女の例にもれずいつもすばらしいお洋服。
たいてい、「ハッ」とか「ギョッ」 とかするような素晴らしさでありましたが、とにかくお似合でした。
しかし人はそんなものを見てはいけないのです。
彼女はよく同業者のワルクチを言いますが、そんなものも、決して聞いてはいけません。
ともかく虚心に、そして素直に彼女の心をきき、魂をみつめることです。
そうすれば、西谷祥子という人が、どんなに愛にあふれた女性かということがわかります。
とある有名少女マンガ家は、常々『愛トハナンゾヤ??』『イカニ愛 スルベキカ?』という、大上段にふりかぶった大テーマをテレもせず正面から、しちくどくて、むずかしくくり返し描いています。
しかし西谷さんは、そんなことは夢にも考えず、ただもう好きなお話を描いていきながら、さらりと答えを出してしまうのです。
しかもより身近な語り口で、わかりやすく、読者をテレさせることなく、いつの間にか理解させてしまう。
これはもう”天才”といわんか人柄そのもの、魂の中味なのであります。
愛にあふれた魂というものは、このようにして他をもうるおすのでありますが、ただひとつの彼女の不幸があるとすれば《最も多く愛する者は、より多く傷つく》とかいう、コトワザだかなんだかによって、要納できます。
西谷祥子について、あまり良い評判をきくことが少なかったのもそのせいだと思っていました。
偏狭な、やさしくない、がつがつした人には、愛されることさえ迷惑だったり、愛する心が愚かにみえたりするからです。
西谷さんとお会いする機会を失なって久しくたちます。
マンガ家であると同時に、かわいい女である西谷さんが、幸福であるよう願ってやみません。

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