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【高正隆:ハルマゲドンは宇宙年代記の香り】だっくす1978年12月号


だっくす1978年12月号
発行日:1978年12月01日
発行所:清彗社
資料提供:https://medaka.5ch.net/test/read.cgi/gcomic/165398...




「だっくす1978年12月号」58-59ページ
ハルマゲドンは宇宙年代記の香り
または山田ミネコさんから返ってきた葉書
高正隆
(図版に続いてテキスト抽出あり)





ハルマゲドンは宇宙年代記の香り
または山田ミネコさんから返ってきた葉書
高正隆

だっくす7・8月号の“SFって何?──漫画家からきたアンケート”のページを見て、思わずニヤリとさせられた。そのページのどこかというと、山田ミネコさんのアンケートに対する答の箇所である。そこには、こう書いてあった。
 質問──影響をうけた作家(或いは作品)は?
 ミネコ──なんてヤボな質問かな?
そうとも、なんてヤボな質問だ。私は、ニヤニヤしながら考えた。ミネコさんの答は、言い換えればこうなるのではないだろうか。
「影響を受けた作家なんて、作品読んでわかってよ。」
まさに、そのとおりなのだ。彼女の“ハルマゲドン・シリーズ”を読めば、ある一人の作家の名前が脳裏に浮かんできて当然である。
結論から言ってしまおう。その作家とは、光瀬龍氏(こういう言い方はいやなんだけど、あの「百億の昼と千億の夜」を書いた)のことだ。
私は、“ハルマゲドン・シリーズ”の何作かを読んだとき、あれ、この人(ミネコさん)は光瀬氏のSFを読んでいるのじゃないか、影響を受けているのじゃないかな、と思った。たとえば、星野(セイヤ)、真砂流(マサル)、唯(ユイ)、斗志(トシ)などのネーミング(もっとも、これは私の読みすぎだったことが、後にわかったが)、三面六臂の阿修羅像、火星や金星にたいする郷愁、シリーズ全体の構成、サイボーグたちの話など、光瀬SF“宇宙年代記シリーズ”を感じさせるものは、たくさんあった。
そこで私は、どうしてもその疑問を確かめずにはいられなかったのだ。返信用のハガキを同封して、質問事項を書きつらねた手紙を、ミネコさんへ送った。ミネコさんが、光瀬SFを読んでいるであろうというのは、ほぼ確信にちかいものであった。が、一抹の不安はあった。もし、ミネコさんが、
「あーら、光瀬龍なんて知らないわよ。」と宣ったら、これは大変なことだぞ。日本に二人の光瀬龍がいることになってしまう。いや、それ以前に、ハガキが返ってくるかどうかが大問題だったのだけれど……。
それからしばらくして、果たしてハガキは返ってきた。郵便受けから、字がいっぱい詰まったそのハガキを取ったとき、私の胸には安堵感と共に、大きな満足感が広がっていった。やはり、私の読みは間違ってはいなかった。ミネコさんは、光瀬龍氏の作品を読んでいたのだ。そして、私はとても嬉しくなってしまった。思わぬところで光瀬氏のファンを見つけたものだ。以後、同じ光瀬ファンであるという共感からか、私はよりいっそうミネコさんのファンになってしまった。

さて、ミネコさんが何て書いてきてくれたか、少し紹介してみようか(してもいいですよね、ミネコさん)。
前の方でもふれたけど、名前は光瀬氏の影響ではなくて、つづき氏の影響なんだそうだ。また、ご自分では光瀬氏の影響を受けていると思われますか、という問には、
「はい!」
という返事が(しっかりと)返ってきた。そして、そのあとこうも言っている。

 なにしろ、はじめて「百億の昼と千億の夜」を読んだのが高校のときで、一番感じやすい年頃だったので、それ以来……。だから、SFイコール光瀬龍だと思っている

イヤハヤ、実に嬉しいですね。私も高校のとき、はじめて「たそがれに還る」を読んで、感じやすい年頃だったので、それ以来……。SF=光瀬龍とは言わないけれど、私もSF≒光瀬龍ぐらいには思ってますよ、ハイ。
漫画化してみたい作品はありますか、との問にも、

 でもさあ...、私がやっても…

と、ためらいながらも、

 はい

と返事をしてくれた。やはり一番のお気に入りは、「百億の昼と千億の夜」ということなんだけれど、萩尾望都さんに先をこされちゃったのでスネているんだそうです。そんなこと言わないで、ミネコさん。私は是非見たいなあ、山田ミネコさんの「百億の昼と千億の夜」を。
最近は“アリス・シリーズ”が続いているけど、“ハルマゲドン・シリーズ”がこの先どんな展開を見せてくれるか、楽しみに待ってますよ。

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