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【対談:ささやななえ・坂田靖子】
ささやななえ自選集4「ささやななえ今昔物語第4回」

資料提供:https://medaka.5ch.net/test/read.cgi/gcomic/163500...



ささやななえ自選集4
発売日:1997年08月05日
出版社:講談社
ささやななえ自選集のサイト↓
https://kc.kodansha.co.jp/product?item=0000031651




対談:ささやななえ・坂田靖子
(図版に続いてテキスト抽出あり)









対談:ささやななえ・坂田靖子

(坂田さんの発言の続き)行くわね」とか言われ と思うのよね。ついでに? ついでに? …って、頭の中でエコーがかかる状態だったの。

ささや ほんとうに不思議そうな声だった。

坂田 すごく活動範囲の広い人なんだな、って納得させてたの。

ささや 山形と勘違いしてたらしいの。あそこらへんがね、石川県のような気がしてて。

坂田 結構強烈な印象だったわ。

ささや だから、結局私が坂田ちゃんと会ったのは、大泉(注・当時萩尾望都・竹宮恵子両氏が住んでいた仕事場)に居候していて、北海道へ帰るついでに金沢へ寄ろうと(笑)した時だったのよ。その時は位置関係もわかって、まっすぐ金沢へ行ったけど…。ちょっと遠回りだけどね。

坂田 うん、うん。会ったのはずっと後よね。

ささや 会ったのは後だったけど、手紙のやりとりはずっとしてたから、初めて会ったような気はしなかった。



大泉の思い出

編集 坂田先生は、学生時代に休みを利用して、よく大泉に行っていたそうですが。

坂田 私の周りは学生ばっかりだったんで、夏休みや冬休みみたいな長期休暇のときしか、移動ができなかったんです。だから、休みのときはチャンスと思って、それまでに旅費を貯めて大泉に行ってたんです。それでそのまま居座るわけですね。で、タダ飯食べて、漫画家の皆さんのお話を聞いて、古本屋街なんかをブラブラして、大荷物をかかえて帰ってくると、だいたいこんな感じで大泉にいましたね。でも、あのときって、みんなこんな感じでしょ。

ささや うん、マニアの人はね。

坂田 お決まりのパターンよね。しょっちゅう知らない人が出入りしていて…。

ささや ちょっと留守にしていると、誰かしら増えていてね。あいさつするんだけど、誰この人? みたいなね。

坂田 ものすごい状態でしたね。ななえタンって、あの頃、もう大泉でウロウロしてたんだっけ。

ささや うん。て言うか、坂田ちゃんが最初に行ったときにね、私の住所と連絡先を大泉に置いていったの。

坂田 私、そんなことしました?

ささや したんだって。

坂田 ぬれぎぬじゃないの。

ささや だってモーさま(萩尾望都氏)がそう言ってたもの。あの人、記憶力がすごいから。
それでね、私、そのとき大泉の住所も電話番号も何も知らなかったの。手紙で坂田ちゃんが行ったのは知ってるわけ。「あ、いいなぁ。 萩尾望都と竹宮恵子かぁ。行きたかったなぁ」とか思ってたんだけど。そしたら、しばらくして、モーさまから連絡がきたの。

坂田 なるほど。

ささや あなた、手紙に書いてるよ。大泉に連絡先置いてきたって。

坂田 しまった。ウラを取られてるのね。
で、あれだっけ、そのまま大泉に居座ってたんだっけ。

ささや うん。出入りも何も居候を決め込んでいたから。半年いて、
2ヵ月実家に帰って、また半年…。

坂田 めちゃくちゃですな。

ささや なんやかんやで1年近く…。

坂田 1年も? すごい!



金沢サロンにて

ささや それで、一回大泉から実家に帰るついでに坂田ちゃんの家に遊びに行ったの。で、やっぱりしばらく居座ってたんだよね。

坂田 そうだったっけ。

ささや 最初の金沢のとき。

坂田 そういえば、そんな気も。ウチもけっこういろんな人が泊まっていたからね。このあたりは漫画仲間が多くて、ウチが気楽な家だったから泊まりにきて、漫画の話をするっていうのが多かったんですよ。だからななえタンものんびりと家にいたのよね。

ささや なんか大泉がそのまま金沢に移行したような感じで、しばらく居心地よく居座ってたよね。

坂田 漫画の話してると、止まらないんだよね。だって、あの頃すごいよ。らくがきとかさ、クロッキー帳かなんかに描きながら延々ね、2日か3日徹夜しても大丈夫だったもんね。

ささや せっかく金沢にきてるのに、外に行かないんだよね。

坂田 観光に行かなかったね。

ささや ほとんど坂田ちゃんの家にいた(笑)。

坂田 当時は誰がきてもそんなものだったよ。だって話すことがありすぎて時間が足りないんだもの。だから、たぶんななえタンも、ウチで話をして、田中さんのところで話をして、またウチに戻って話をして、また…。 っていうんじゃなかったかな。

ささや で、昼間、オバたま(花郁悠紀子氏)とか、あのころ小学生だった波津さん(波津彬子氏)とかと会って。

坂田 にぎやかでしたね。

ささや 若かったね。

坂田 そうですよね。今はなかなか徹夜できませんね。

ささや 私、今でも切羽詰まるとやっちゃう。



徹夜仕事の怪

坂田 私、この前も電話で話したけど、ななえタンの徹夜仕事中に音楽が聞こえる話はすごく怖かったのよ。

ささや あのね、どの漫画家もそうなんだけど…。

坂田 ウソ!

ささや だってよく聞くもん。 アシスタントさんとかからも。よく頭の中でレコードがかかるって。同じ曲が何回も何回もかかるの。

坂田 いや、同じ曲が頭の中で何度もリフレインするとか、そういうことはあるよ。でもさ、ほんとうにどこかから聞こえてくるわねっていうのを聞いたのは、ななえタンだけなのよ。私。

ささや それで誰も聞こえてなかったんだっけ?

坂田 そうそう、アシスタントさんに聞いても、誰もレコードなんかかかってませんでしたよって言ってたっていう話を聞いて、ものすごく怖かったんだから。

ささや それって、音楽じゃなくて拍手のこと?

坂田 拍手は知らない。 また、そんな怖い話があるの?

ささや 1回描いたこともあるんだけど、夜中の1時にね、10分か 15分かだけ拍手を打つ音が聞こえるの。ちょうど初夏だったもんだから、窓を開け放して仕事をしていたのね。そうしたら向かいの道路のほうから拍手の音がね、聞こえるの。はじめは蚊か何かをたたく音かと思っていたんだけど、それがずいぶんしつこいから、アシスタントさんに聞いたの。そうしたら誰も聞こえてないって。

坂田 それは怖いわ、

ささや その話とちがう?

坂田 似てるけど、私が聞いたときは音楽だったの。誰かがずっとラジオをかけてるんだねって言ったら、誰も聞こえてなかったのよっていう話。違ったかしら。でも、私の中ではすごくそれが鮮烈な記憶になって、脳みそに5センチほどキズがついて、今に残っているんだけど(笑)。

ささや でも、徹夜明けは音楽が聞こえるから。頭の中で延々と同じ曲が。前にアシスタントさんが「私、与作が聞こえるんですぅ」って言った時には、みんなの頭が与作になっちゃって(笑)。死ぬ思いがしたの。誰かこの曲を止めてくれーっ!って。(爆笑)。

坂田 与作はつらいかもしれないわね。

ささや うん、つらかった。



ささや版コワーイ話

坂田 私ね、ななえタンの怖い話で、すごく記憶に残っているのがあるのよ。たしか大泉の頃だった気がするんだけど。

ささや 大泉じゃない。 昔すごくよくやってたから。

坂田 そうなのよね。でね、ともかく怖かったんだって。

ささや なんの話?

坂田 内容は覚えていないんだけど、怖かったの。それでね、コイツとんでもない奴だと思って。もう絶対この人とふたりっきりで話はしないぞ(笑)って。

ささや あれ、前さぁ、私が金沢に泊まった時、髪の毛が長くってあなた、夜中に私の髪の毛が気もち悪くなって、お母さんのところに飛んでいかなかったっけ? 髪の毛が今にも動き出しそうな気がするって言って。

坂田 私が今覚えてるのはね、大泉界隈での記憶なんだけど、なぜか知らないけど、白いパックをね…。

ささや あ、モーさまが寝てる時でしょ。ファウンデーションを塗 って。

坂田 そうそう。なんかね、いたずらをしたのよね。で、他の人は怖くなかったんだけど、ななえタンだけが異様に怖かったのね。真っ白に塗って、髪の毛もグラリとたらして。本人は見えなかったと思うけど、ほんとに怖かったんだから。

ささや それで私がその時、モーさまをこの顔で起こしに行こうっていったら必死になって止めにきた話でしょ。

坂田 だって、危ないと思ったもん。その後のこと、私責任取れないもの(笑)。

ささや モー様がショック死したらどうする、とか言ってね。

坂田 思わず、身を挺してかばっちゃいましたよ。どうしてああいうことを思いつくかなぁ。
それでね、こういう人に夜中に会ったらだいたい半数の人はショック死するなっていうくらいすごかったよ。私ずっと考えたんだもん。例えばね、暗い道端であのメイクで立ってたとして、スピード違反の車がね、事故を起こしたとしても、メイクを取ってしまえば誰かわからないから、完全犯罪になるのではって(笑)。

ささや アハハハハッ。くだらん(笑)。

坂田 私、真剣に、真剣に考えたんだから。



駄作が好き!!

坂田 ななえタンの日常って怖いのよね。

ささや どこが怖いの?

坂田 私ね、この対談の前、自選集の1、2巻を読んでね。対談の中に、印象に残ってる作品はなんですかっていう質問があるじゃない。で、私もきっと聞かれるにちがいないわ。と思って、一応準備しようかしらって考えてたのよ。でね、ものすごくいいものを見つけたの。

ささや 何を見つけたのよ。怖いなあ。

坂田 これ。

ささや いやぁっ、何? これ。

坂田 私、このあたり「本町51番地」とか、「あかるい夏の日」と か好きでさぁ。

ささや 私なんかこれ、絶対自選集に入れないと封印した作品ばっかりじゃない。

坂田 このテの作品ね、強烈な印象があるのよ。なんかね、ななえタンの日常って、すごいなぁって思ったの。この日常感だよ。

ささや 私の日常、入ってないよ。

坂田 入ってると思うなあ。

ささや どこがぁ?

坂田 どこがって言われると困るけど。

ささや 失敗作だから…。

坂田 こらこら、おいおい…。なんか、ななえタンの現実感って怖いなぁと思ったの。のしかかって迫ってくるような現実感。ものすごいんだよね、リアルさがあって、迫力があったのよ。
私、ななえタンの好きな作品って、いっぱいあったんだけどさぁ、なんだか記憶に鮮烈に残っているのは、このタイプの作品なの。

ささや 日本ものだからね。

坂田 それもあるけど、少女漫画家でこういうものを描く入って結構めずらしいなって思ったの。

ささや いなかったっけ。

坂田 いたんだけど、こういう重さがなかったの。もっとかわいいのが多かったのね。

ささや 私の絵自体が土臭いから、それでリアリティを持つんじゃないかと思うよ。

坂田 だから、それがすごい迫力だったんだって。

ささや 少年漫画が好きだったからね。少年漫画のノリなんだよね。なつかしいよね。

坂田 ものすごい昔のだもんね。



マニア友だち

編集 先ほどから聞いていると、漫画家さん同士というよりは、漫画マニア同士というような印象を受けるんですけど。

坂田 そのとおりです。

ささや そうなんです。

坂田 私たち、漫画家友だちじゃないもんね。

ささや そうよね、マニアだよね。

坂田 マニア友だちだよね。だからお互いに仕事の話とかしないもんね。他の漫画の話やゲームの話とかはするけど。

ささや しないよね。そういった意味だと、私モーさまともマニア友だちかもしれない。

坂田 仕事の相談とかした覚えがない。ほとんど。
でも、それじゃないと長続きしないかもしれない。

編集 いつもだいたいそういった感じなんですか。

坂田 話をするときって、だいたいこんな感じよね。最近はゲームの話だし。

ささや 最近はゲームばっかだよね(笑)。「風来のシレン」やってご らん。ハマるから。「FF VII」やった?(笑)

坂田 っていうわけで、今はほとんどゲーム友だちみたいな感じですね。時々電話がかかってくると、ゲームの話してる。

ささや ゲームやってる人とはそういう話になっちゃうよね。

坂田 私なんか、手紙書くとゲームの話ばっかり。

ささや カット入りでね(笑)。

坂田 それは忘れなさいって。

ささや アハハハハッ。



怖いもの描いてね

編集 ささや先生にこれから描いてほしい作品の方向性というのはありますか。

坂田 しまった、そっちの方向からこられるとは…。

ささや 思いもかけない質問でしょ。

坂田 うーん、でもやっぱりあれよね。方向としたら怖いものよね。

ささや なんで怖いもの? あなた、怖いもの苦手じゃない。

坂田 うん、苦手なんだけど、ななえタンの怖いものはほんっとうに怖いの。だからね、世間の人々に分け与えてあげなくちゃいけないと思うのね。

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