【竹宮惠子による講演】

【竹宮惠子：京都精華大学アセンブリーアワー講演会 2016年】（竹宮惠子66歳）
2016年05月19日京都精華大学アセンブリーアワー講演会

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京都精華大学広報誌：木野通信 issue 67
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"革命の種”を続けて
学長　竹宮惠子
（画像８枚に続いてテキスト抽出あり）

KYOTO SEIKA UNIVERSITY
KINO PRESS issue 67

2016年5月19日、京都精華大学アセンブリーアワー講演会として、京都精華大学学長でマンガ家の竹宮惠子による講演会が行われました。題して「創作で革命を起こすには」。告知をはじめたときから大いに話題を呼び、当日も開場前から長い行列ができました。その講演内容を抜粋してお伝えします。

"革命の種”を続けて
学長　竹宮惠子
（マンガ学部ストーリーマンガコース教員／マンガ家）

今年のはじめ、私は自らの半生を綴った『少年の名はジルベール』という本を上梓しました。1970年代のマンガ界や個人的なエピソードなど、狭い世界の出来事を書いたものですから、刊行後の大きな反響に、実は私が一番びっくりしています。きっと、「自分の作品で世界を変えてみせる！」などという壮大な夢を打ち立てて悪戦苦闘していた当時の私の姿と、読者の方の若いころあるいは今が重なって、多くの方に共感していただけたのだと思います。
そんな著作の影響もありまして、さる5月、本学の名物イベントであるアセンブリーアワー講演会に招かれ、「創作で革命を起こすには」というテーマでお話をしました。私の代表作『風と木の詩』がマンガ界におけるひとつの“革命”だったとするなら、その経験をヒントにして学生たちにも革命を起こしてもらいたいと思ったのです。革命というと、何かものすごく大きなことを成し遂げなければならないように思うかもしれませんが、そんな風に構える必要はまったくありません。革命の種は、みなさんの身の回りにいくらでも落ちています。大事なのは、その存在に気づいて、拾い、育てていくこと。途中で挫折しそうになっても、ネガティブな感情に流されないように踏ん張り続ければ、いつか必ず実を結ぶ日が訪れます。
かくいう私もただいま大学改革に向けて種を育てている真っ最中で、少しずつですが、大きく育ってきました。今はちょうど、教員のみなさんに私が進みたい方向を示し、一緒に挑もうとしているところ。思わぬ方向に進みそうになったり、立ち止まらざるを得なくなったりするかもしれませんが、革命を起こすまでの道のりには困難がつきものです。それを楽しむくらいの心持ちで、前に進んでいきたいと思います。

創作で革命を起こすには
竹宮惠子による講演

みなさま、こんにちは。本学で学長を務めております竹宮惠子です。本年度はじめてのアセンブリーアワーで、学長という立場の私がお話をするのはちょっと落ち着かない気分ではありますけど、今年の1月に出した本（『少年の名はジルベール』小学館）が私の認識を越えて、大きく話題になったためにこのような機会をいただくことになりました。

この本というのは、みなさんよくご存知の「トキワ荘」にもつながる話ですね。トキワ荘は、手治虫先生、石ノ森章太郎先生、赤塚不二夫先生、藤子不二雄先生など、私からすれば憧れの先生方が若いころに切磋琢磨した共同住宅のことですけど、その青春記をたくさん読みまして、私もこんな経験がしてみたいと思いながらマンガ家を志すことになりました。それで、20歳のときに徳島から東京に出て、萩尾望都さんと出会いまして、「大泉サロン」を結成することになりました。自分にとって奇跡的な出会いであり、非常に勉強になった時代ですので、今でも私の中に鮮明に残っております。その当時のことを書くことで、若い学生たちにとっても励みになるかもしれない、そうなればうれしいなと思いながら、本としてまとめあげました。

実は、私が２０００年に京都精華大学へ赴任してきて、最初は年の離れた学生が怖かったんです。どう接していいかわからないし、私より新しい知識をもっているだろうと思われる学生にちょっと怖れを抱いていました。しかし、マンガを通じて話をするうちに、彼らも私がマンガを目指していた20代のころとほとんど変わらない悩みをもっているんだと気づいて、心からホッとしました。今日お集まりくださったみなさんは、学生から私と同世代の方まで、さまざまであろうと思いますけど、日常から離れてこの講演を聞こうと考えてくださったみなさんのお気持ちをしっかり受け止めてお話をしたいと思います。

私が小学生くらいのころは、マンガに夢中になっている人がすでにたくさんいましたが、マンガを読むから本を読まなくなるんだとか、そういう風に言われていまして、学校にマンガを持っていくとすぐに取り上げられるような時代でした。私はもともと絵が好きで、マンガも描くようになったのですが、分厚い講談社の文学全集なんかの間ですぐ隠せるようにして、折りたたんだわら半紙を使ったりしてマンガを描いていました。文学の本を読んでいる分には、先生からも親からも怒られなかったんですね。そのころに、「ぼくはハヤブサ・純」という、ちょっと少年探偵団のような話のマンガを描いてました。1話につき16ページから32ページくらいのシリーズもので、98話まで描いていましたが、結局、ただただもう恥ずかしくて、すべて燃やしてしまいました。その理由は、石ノ森章太郎先生の『マンガ家入門』を読んだこと。このとき、人に見せられるようなマンガを描きたい、はっきりとマンガ家になろうと決めたことをまざまざと覚えております。

その後、〝まんが専門誌〞というコピーを掲げて出版された『ＣＯＭ』という雑誌があったのですが、その『ＣＯＭ』の中の「まんが予備校」という投稿欄に向けて、マンガを描いていくことになります。『ＣＯＭ』を読み続けるうちに、私にとっては「まんが予備校」の方が大事になってきて、そちらにばかり目を向けていた気がします。そこに投稿した作品が佳作に選ばれるのですが、私が驚いたのはその配点ですね。いろんな項目に分けて採点される中、私の場合は〝ストーリー〞の点数が非常に高かった。『ＣＯＭ』のお正月号だったかで、「まんが予備校」の特集がされたときにも、ストーリーの年間ランキングで私は２番目くらいだったでしょうか。それくらいストーリーを評価されたことを覚えています。そのときに描いたお話は、「青い目のバンチョウ」という児童文学を元にしたものです。人種差別的とまでは言いませんが、外国人がまだもの珍しく見られるという時代でしたので、そういう立場の人について書かれた物語がもとになっています。

山中恒さんの本だったと思いますが、その本を読んで、私もそのような立場に置かれた人がどんな風に思われるのかを描いてみたいと考えて、描いた作品でした。そういう着眼点がよかったのかなと思います。

『週刊マーガレット』に載せていただいた「リンゴの罪」を描いたときは、まだ17歳でした。雑誌に掲載されたときには18になっていたかと思いますけど、描いたのは17歳です。徹夜して描きつづけたので、高校の授業中にとても眠くなってしまって、途中で学校を抜けだして帰ってしまった日もありました。私は日頃、優等生でとてもまじめに学校に通っていましたので、授業を抜けるような子だとは先生も想像していなかったと思います。そのあくる日は先生に呼び出されて、「ひと言理由を言ってから帰ってよ」と叱られましたけど（笑）。当時の学校の先生にとって、きっとマンガ家になるなんてことは想像できない世界だったんじゃないかと思います。母からも、そんな水商売に娘を出すなんてことはありえない、何を馬鹿なこと言ってるのかって言われていました。マンガで食べていけるのかという両親の不安に対して、描き続けているうちにわかってもらえるかなと思いながらも、証明ができないわけですね。だから、どんどんマンガを描いて、投稿して、雑誌に掲載されることで認めてもらうしかないだろうと思っていました。

徳島で大学に行っていたころは、ちょうど学生運動が盛んだった時代です。私はそのことに非常に関心をもっていましたので、１年間マンガを描くのを休んで、学生運動について考える時間をもちました。当時は、京都でも京都大学のあたりを通ると硝煙の匂いがしたっていうくらい、騒乱の時代でしたね。今からは伺い知れないような状況ですけど。私はさまざまな人たちと議論をして、集会にも参加しました。その上で私が出した結論は、「私の革命はマンガでする」ということ。その決意もまた、大学を辞めて徳島から上京することを後押ししてくれました。

東京へ上京して、同世代のマンガ家の萩尾望都さんと、萩尾さんのペンフレンドだった増山法恵さんとの共同生活をはじめます。その「大泉サロン」のことについては、本（『少年の名はジルベール』）の中で詳しく書きましたが、そこでよく話題になったのが少女マンガ業界の環境のことでした。たとえば、少年マンガと比較してずっと単価の安かった原稿料の問題。編集者に直接聞きましたら、少年マンガに比べて少女マンガの市場はとても小さいんだというんですね。つまり、それだけ本が売れていないから払えないということだったので、私たちが売れる作品を描かなければ、現実はなかなか変わらないということですね。その上で、知り合ったマンガ家の人たちにも、一体、原稿料がいくらなのかを尋ねるということもやりました。小学館、講談社、集英社...出版社によって原稿料がどのくらい違うのか、教えあったりしていたんですね。きっと編集者の方からすれば、そういう動きをする私は、ちょっと嫌われていたかもしれません。

お金のことだけではなくて、「大泉サロン」ではいつもマンガの話をしていました。週刊誌で読んだばかりのマンガのどの部分がよかったとか、どこが新しいかとか、いっぱしの批評家のように言い合っていました。みんな若かったですから、今までの作家や作品を乗り越えていくために、どこかに新しさをもたないとダメだということは考えていたと思います。

私自身のことでいえば、マンガの基礎力はもっていると思っていました。編集部からどんな依頼があったとしても、それを器用にこなしてみせるだけの職人的自信があったんですね。だけど、萩尾さんをはじめ、周りにいる人たちの表現を見ているうちに、自分の表現方法に新しさがないんじゃないかと気づきはじめて、とても苦しみました。自分がグラグラとして、ものすごく悩みながら描いていた時期が続いたんですね。

１９７６年から連載をはじめた『風と木の詩』という作品があります。これは、連載をはじめるよりもずっと前、上京して間もないころ、ほんとに天啓のようにして、頭の中にイメージが沸いてきたものです。それを忘れないために、友達の増山法恵さんに電話をかけて、必死にそのことについて話して、夜通し8時間もしゃべりっぱなしだったことをまだ昨日のことのように思い出します。自分の中ではぼんやりとした枠組みでしかなかったアイデアが、増山さんから細かく聞かれることで、どんどん話の骨格として固まっていったんです。だから、一晩で生まれた物語ということになりますね。

これは、どうしてもマンガにして発表したいと思いましたので、最初の50ページは早い段階から下書きのような形で描いていました。ただ、当時の出版社にとっては掲載することをためらわざるをえないような表現、少年愛というテーマが含まれていましたので、いろんな編集者に見せてもあきれられるばかりでした。

この『風と木の詩』の構想はずっと抱えたまま、発表できずに何年も経ちました。その間、少年愛やその世界観を描く練習だと思いながら作品を描いたりしていましたので、編集者からは「習作で仕事をするな！」と叱られたりもしました。そんなとき、ある編集者から言われたんです。「ヒット作を出せば、その作家が次に描く作品に対して出版社がどうこう言えるものではない」と。だから、自分が好きな作品を世に出すためにも、まずはヒット作を描いてみようと思い立ちました。それまで、週刊誌で連載をしていながら、まったく気にしていなかった読者アンケートの結果を、そのときはじめて意識したんですね。それもおかしな話ですけど（笑）。それで描いた作品が『ファラオの墓』です。結果的には読者アンケートで2位までしか行けなかったのですが、この作品を連載している間、自分自身で物語をコントロールして、しかも、それが読者にちゃんと伝わっているという高揚感がありました。読者とともに作品をつくっているという意識をもつことができたんですね。そんなこともあって、『ファラオの墓』の連載を終えた後、その次に『風と木の詩』の連載をはじめることができました。

『風と木の詩』は、その後、すごくたくさんの方に支持される作品になったのですが、それは私にとっても驚くことでした。どうしてそのようになったのか。ある人に聞くと、明快に説明してくれました。「あの時期のあなたの作品は、飛び立とう、飛翔しようとする離陸の美しさをもっていた」と。美しいかどうかは置いておくとしましても（笑）、たしかに、私は飛びたちたいという気持ちだけは強くもっていました。飛び立つということだけは堅く決めていて、飛べるかどうかなんてことは考えていませんでした。飛べるかどうかを考える前に、飛ばなくてはならないんです。鳥にとって、そんなことは当たり前なんですね。

だから、状況を変えようと思うのであれば、変えるために必要なことをとにかく次々に行うだけなんです。変えようと思っているだけになってしまうのが、一番いけないんじゃないかと私は思います。飛べるかどうかじゃなく、ただ、もう飛ぶということだけを考えて、それを果たしていくだけなんです。たとえどんな状況であろうとも、です。

野生の鳥というのは、いじらしいほどに生きること、飛ぶということに夢中です。私もそういういじらしさを決して失うまいと心に決めています。飛べなくなれば死んでしまうわけですから。大陸から日本に渡ってくる渡り鳥のように、はるか先が見えない大海原であっても、必ず飛んでいけると信じています。

今回、「創作で革命を起こすには」というタイトルで話をさせていただきましたが、私にとって「革命」という言葉は特別なものです。「革命」という言葉の印象からすれば、とても遠いことのように、大胆不敵なことであるかのように思われるかもしれません。けれども、たとえば、卵を割るというひとつの行為をとっても、人によってその方法は実にさまざまなんです。どういう方法で卵を割るのか、それをじっくり考えてみれば、そのやり方をとるというだけの理由がそれぞれの人にあるんですね。自分だけのその方法を考えて、他人に説明して、教え伝えることもできると思います。当事者にとっては何気なく意識せずにやってきたことでも、そうして教えたり、習ったりすることによって意識的に伝えていくことが可能になります。

とても日常的で、瑣末なたとえかもしれませんが、それこそが、実は革命につながっていくこともあるんだろうと私は思います。つまり、革命というのはどこにでもあるのだけど、その種を拾って大きく育てられるかどうかは、人の側に委ねられている、その人次第だということ。最初はほんとに瑣末な、小さなことかもしれませんが、そこに光を当てて、これが問題じゃないのかということを強く押し出していくわけですね。見つけた小さなきっかけを磨き上げて、問題としてしっかり育てていくのは、人間の作用によることなんです。そこに多くの人が介在することによって、広がっていくこともあるんだと思います。

学生たちと話をしていると、もう目新しいものなんて創れないんじゃないかという声もよく聞きます。だけど私は、よく授業の中で、テレビのＣＭを4コママンガにするという課題を出しますけど、みなさんがよく知っているＣＭを4コマにするだけでも、全員が必ず違うものを描きます。その多様性ですね。そういった違いをそれぞれの人がもっているわけです。目新しいものだけが革命につながっているわけじゃないと思います。

何かを成し遂げるためには、当たり前のことですが、とにかく一途でなくてはなりません。一途であることが恥ずかしいという人もいらっしゃると思います。夢中になることは子どもっぽいと言う人もいます。けれど、これはもう圧倒的に普遍的なことで、千年変わることがないと言ってもいいようなことです。

革命というのは、ごく日常のことなんです。もしかしたら、今から経験するちょっとしたことが、みなさんの革命になるかもしれない。それをわくわくすることとして受け止めてもらえたら、私としてはうれしいです。今日の帰り道、小さな革命の種を見つけることになるかもしれません。その革命のポテンシャルを高めていって、それが銀河にまでなるかどうかは、みなさん次第だと思います。

どうも今日はありがとうございました。

講演を聞いた、斎藤光が考えたこと。

斎藤光
都精華大学ポピュラーカルチャー学部教員。最近は京都のカフェ一の歴史を調査中。共著者に『昭和後期の科学思想史』など。

今年（2016年）の２月のことである。小学館から『少年の名はジルベール』が出版された。著者は、京都精華大学学長竹宮惠子。内容は彼女の自伝である。

一気に読むことができた。すぐに思いついたのは、〝これはＮＨＫの朝ドラになる〞ということ。そう考えた方は他にもいるようで、ＳＮＳ上でも朝ドラ原作の可能性がいくつもつぶやかれていた。たぶん、それは、この自伝が、「少女マンガ革命」内側／前夜の過程を、お金はないが情熱はある若い人たちの苦しくも明るいドラマとして描いているからだろう。つまり、近年はまれになった良質の「教養小説」的読みものであったからなのだ。

竹宮さんはそこで、大学を中退し東京で大泉サロンを形成する前後の１９７０年春から、１９７６年2月に『風と木の詩』が『週刊少女コミック』に連載開始されるまでの自分とその周囲を描いている。社会動向的にいえば、大阪での万国博覧会の開始（70年3月）から、石油ショック（73年10月）を経て、ロッキード事件の発覚（76年2月）までの時代だ。社会も激動し、少女マンガ界も大きく動いていたことがよくわかる。

今回のアセンブリアワーで、竹宮さんは、この自伝が対象とする当時のことを話された。「自立」「革命前夜」「飛翔」といったキーワードに沿って資料をスライドでうつしながらの講演。進行役の平尾早悠佳さんとのやり取りも絶妙であった。

ところで「革命」ということでいえば、少年の／との性をひとつのテーマにした『風と木の詩』が、少女マンガ雑誌に載ったというのは、いくつもの文脈で「革命」に値するだろう。少しあげておく。

まず、少女マンガでの性という文脈。「性」を少女マンガで扱うことがタブーであったなかで、男性同士の性愛を「絵」と「物語」として描くということ。それがいかに破壊的なことであったか。当時少女だった読者に聞いたことがある。電車の中で買いたての『週刊少女コミック』を開いて読むのがひどくドキドキすることで、見つかると大変と思ったということ。ただ、講演でも話されていたが、突然、少年の／との性が登場したわけではなかったようだ。竹宮さんは、連載前も少年を美しく描く「習作」を雑誌掲載したり、いろいろな機会を利用して、『風と木の詩』を予告もしていたようだ。革命の成功には、それ相応の準備が必要でもある。

もうひとつの文脈は、女性の社会的地位というものか。講演で印象深かったのは、原稿料の話で、70年代前半、少女マンガ家の原稿料は、少年マンガ家に比べかなり低いものだったらしい。これは、はっきりとは話されなかったが、『風と木の詩』が広く注目されるということは、まわりまわって、原稿料における不平等解消へとつながったのでははないか。

竹宮さん関連で、ひとつ何となく感じることがある。それは「竹宮惠子」の評価の問題だ。いわゆる24年組では、70年代末からかなり長い間、萩尾望都がより高く評価されていたのではないか。しかし、これは個人的実感に過ぎないが、90年代から今世紀に入るにつれて、「竹宮惠子」の評価が高まってきたと思う。そのことは、マンガ界における性の扱いの大きな変動や、ＢＬマンガなどの登場と相即的である、と思われるのだがどうであろうか。

このことは、革命の意味や内実と関係している。マンガ表現上の革命が重要なのか、テーマにおける革命が重要なのか、ということになろうか。ただ、ここで細かく検討したり答えを出すわけにいかない。むしろ、こういう方向で考えることはできないか、というきっかけとして少し触れておいた。

重要な革命には、その革命を個体識別するために、固有名が付けられている。竹宮さんが創作でもたらした革命は、なに革命なのだろうか。「ジルベール革命」という単語も浮かぶが、どうしたものだろう。