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【萩尾望都:インタビュー】
テレビランド増刊イラストアルバム6 萩尾望都の世界


テレビランド増刊イラストアルバム6 萩尾望都の世界
出版社:徳間書店
発行日:1978年07月30日


資料提供
https://medaka.5ch.net/test/read.cgi/gcomic/163456...



【インタビュー:あのころ】


ーーペンを使って作品をお描きになったのはいつごろからかしら?

萩尾 中学校2年生のときからボツボツやってたんですけど、ペンを使った作品というのは2年に1作ぐらいで、鉛管描きのほうが圧倒的に多かったんですよ。高校2年のおわりに、同人誌のサークルにはいって、そこできちんとしたペンの使い方を覚えたくらいだから。それまでは、我流でメ チャメチャで、枠なんかちゃんとなかったり、ふるえちゃったりしていたんです。

ーー同人誌時代は、どんなふうでした?

萩尾 漫画を話せる友だちがパッとふえたので、1年間すごく楽しかった。うちにないしょでやっていたのですが、両親はうすうす感づいてたらしいけど……。

ーーなんという同人誌ですか?

萩尾『キイロックス』です。そのタイトルつけたのは会長さんなんだけど、その会長さん兄弟は手塚治虫先生の漫画を読んでたんですって。手塚先生の漫画にヒョウタンツギが、でてくるでしょう。あれが きいろい毒ガスかなにかだすらしいの。それで、ヒョウタンツギがでてくると、色鉛筆できいろく絵をぬったらしいの。きいろくなあれ、 きいろくなあれ、って。それで、ほら「キイロックス!!」(笑)

ーーそのころ『COM』が創刊になりましたけれどなにか影響をうけられました?

萩尾 そうです。ちょうど『COM』が創刊になって手塚先生が「火の鳥」をはじめたら、石森先生が「ファンタジー・ワールド ジュン」をはじめたの。それから永島慎二先生が「フーテン」をはじめたの。で、当時は、漫画は子どものものだから、こういう青年漫画なんて邪道だっていう意見がまだ幅をきかせてたの。でも、そういう漫画もあっていいんじゃないか、みたいなことをみんなでいってたの。

ーー『COM』にも投稿なさいましたか?

萩尾 1度だけ12ベージのSFをだして落選…。

ーー投稿するぐらいだから、そのころは、もう漫画家になるつもりだったのですね?

萩尾 ええ。高校2年のおわりころに手塚先生の「新選組」を読んで。「いやあ、私もこれぐらいのものを描いてみたい」と思って。

ーー手塚先生の作品はそれまでにもずいぶん読まれたと思いますが、とくに『新選組』に魅せられたのはどうしてでしょう?

萩尾 そのときアドレナリンの発散量が多かったとか…。たぶんそれまでにも手塚先生の作品にはいろんなことが描いてあったんだけど、結局わかってなかったという感じで、やっとそのとき、わかる年齢にたっしたということかな……。



【インタビュー:いま】


ーーお仕事は、いまどんなペース?

萩尾 週刊は15ぺーシですから、だいたいネームに4日かけて絵に3日かけるぐらい。色の扉がはいると1枚に3日ぐらいかかる。1週間働きづめ。それでカラーがはいると寝られないのね。

ーーどこで気分転換するのかしら?

萩尾 パチンコにいくの。でも、このごろでないなぁ、さっぱり……。散歩もいいね。とくに季節がいいこのごろは。家から駅まで歩くの……。

ーーいまいちばん旅行にいきたい場所は?

萩尾 奈良か京都。

ーーひとりでいかれるのかな?

萩尾 いや、友だちと3人か4人くらいで。1人だと泊っただけでさびしいでしょ。

ーー奈良か京都でなにを食べます?

萩尾 にしんそば。おそばすきなの。私は関西のだしがすきでね。

ーーいま、とくに興味があることは?

萩尾 映画。このあいだ「バレンチノ」見てきたの。「愛と喝采の日々」見てから「バレンチノ」を見たの。映画の質としては「愛と喝采.…」のほうが幅がひろいわけ。満員なのね。それで立見。”わかる、わかる”「バレンチノ」は、うしろパラパラ、横パラパラ。”いや、わかる、わかる”ていう感じ(笑)。でも「バレンチノ」のほうがすき。

ーーファッションはどうでしょう?

萩尾 あ、興味あります。

ーースカート・オン・スカートなんておすき?

萩尾 あれね。若い人には似合うだろうね。

ーー自分では、若い人だとは思っていないのかな?

萩尾 うん、もうそろそろ……。

ーー「ノンノ」とか「アンアン」というたぐいの雑誌は、ごらんになるんですか?

萩尾 見ますよ。楽しいわ。目の保養にはいい。いまパステルカラー調の淡い色があるでしょう? あいうのがすきだなあ。私がいちばんくやしいのは、何年かまえから非常にかわいいワンピースとかブラウスがはやってきたのね。ジュニア向けで、レースが三重にね……。私の子どものころそんなのなかったわ。戦後すぐだったからね。モヤ
シつくったりナスつくったり。トウキビ食べてなさいとかいってね。レースのブラウスなんか夢のまた夢。それでその反動で描いてるの。

ーーショッピングはどこで?

萩尾 池袋と銀座。池袋は、おもにパルコ。

ーーよくいきますか?

萩尾 いまは年に2回ぐらいしか......。そうそう、このあいだ、ささやななえさんと賭けやって、ことしいっぱい、もしささやさんが原稿のしめきりに遅れなかったら、私がささやさんにおめでとうといって、ワンピースを1枚プレゼントする。さやさんが、もしおくれたら私にワンビース1枚くれるっていうの。約束してから1か月たたないうちにささやさんが締切りにおくれて、それでおしまい。漫画家にはこういうあそびがつきものなんです。



【インタビュー:これから私は】


私は私のすきなものしか愛せない

ーー現在の少女漫画界をどう思われますか?

萩尾 すごく雑誌がふえて、混沌としてるっていうのは変だけど、こんぐらがってるっていうかな…。だから相当煮つまってきてるから、もうそろそろなにか新しいものがでるんじゃないかな。でるものがでっくしたって感じだし。特にスポーツもの、学園ものがでつくした。これからはちょっとSFがはやりそうだけど、これだってどれくらいつづくかわかんない。じゃあつぎは、なにが…って感じなの。で、どうしても、つぎのセンセーションをまき起こすというか流行をつくるのは若い人たちだからね。こういう人たちがなにもってるかっていうのをみてるわけ。少女漫画界っていうのは周期だからね。5、6年の。

ーー新しいなにかがでるっておっしゃいましたけど、それは横のひろがりとしてということかしら?

萩尾 たんに新しい流行が起こるってこと。そしていままでのジャンル、学園ものとかスポーツものっていうのもつづいていくと思うんだけど、また全国の女の子を熱狂させるようなブームがなにか起きるんじゃないかと思うんです。「ベルサイユのばら」「エースをねらえ」「アタックNO1」とか、 陸奥A子さんなんかが描いていた乙女チックとかね、すごい日本中の女の子が喜んで読んだじゃない。陸奥さんにしろ池田理代子さんにしろ、もう20歳をとっくに越えた人だから、こんど若い新しい人たちが描けばなにか新しいことが起こるんじゃないかと思う。

ーー期待しているというわけですね。

萩尾 そう。おもしろいほうがおもしろいもん。 やっばし。

ーー自分でブームを起こそうとは?

萩尾 だめ。年齢的にむりです(笑)。描き手のエージ(年齢)っていうのが読み手に近いっていうのはすごい強味だと思う。なにを求めているかいちばんわかると思うのね。

ーー自分が描きたいものと相手が求めてるものとが一致するから……。

萩尾 そうそう。そうなのよね。だから、いちばんこわいのはふけちゃうことね。若くなくなっちゃうこと。

ーーふけることを防御するために、なにかくふうしていますか?

萩尾 いやあ...。そんなふうにはできない、ちょっとばっかし。やっぱり私は私のすきなものしか愛せないっていうか。だから、結局自分のすきなものがたくさんの人もすきであってくれればいいなと願うしかない。たまたまいま『スターウォーズ』とか『未知との遭遇』とかいってSFブームだから、これはこれでけっこううれしいわけ。

SFは”ことし”という限定つき

ーーSFといえば、このごろの作品はSFが多いですが、やはりいまいちばんのれるジャンルですか?

萩尾 そうですね。やはり。

ーー「百億の昼と千億の夜」もSFでしたが、あれは原作をだいぶかえられたんですか?

萩尾 毎週毎週、読者にさいごまで読ませなきゃならないってことあるでしょう。それから対象年代が中学生から高校生ぐらいの男の人。そして、 ものの説明をするっていうのはすごく長いセリフがいっばいはいるじゃない。歴史を説明したりするのに、小説だと2、3ページずっとひとりの人がしゃべってる(笑)。でも漫画だと、1ページかかってひとりの人が右向いたり左向いたりしてしゃべってるだけで、読者のほうがあきあきしちゃって、読んでくれないでしょ……。

ーーじゃ、読者対象は少年たちだということで、ある程度考えられたんですか?

萩尾 少年誌に載るんだってことは、ちょっと考えました。つまりどんなふうに描くかってことに関しては。コマ割りとか線の強弱とか。まさか、アップばっかり描くわけにいかない。花を散らしたりはね……。

ーー最新作もSF漫画「スター・レッド」ですが、これからはSFに力をいれることになりますか?

萩尾 ことしは。

ーー限定つきですか?

萩尾 まだ、どうころぶかわかんないっていう現状だから……。

ーーSFが受けいれられたら、描きつづけていられるけれども、ということですか?

萩尾 まあ、そういったこともいろいろ.……。

ーー受けいれられなかったら?

萩尾 受けいれられなかったら......。まあ発想の段階から考えなおさなきゃいけないな。これであかんかったら、じゃあ、あっちはどうだろうな、とかね。

ーー『ビッグコミック』にもお描きになりましたが、おとな向けの漫画はこれからもつづけられますか?

萩尾 いまのところあんまりその気はないです。そのうち描くと思いますけど。どうしてもそのうち年とりますからね。

ーー”年"ということからの質問ですが結婚は?

萩尾 ムムム......。

ーー相手の男性が「子どもを生まなくていい、漫画描いてもいいよ。とにかくぼくと結婚してくれ」っていったら結婚するんですか?

萩尾「あなた、ごはんつくってお掃除して洗濯してくれる?」って聞く。

ーーそれにも「はい」だったら?

萩尾 時々でもやるっていったら「はい」という。しかし男は結婚前はどんな約束でもするっていうし。私だってこの人と結婚したいと思ったらなんでもいっちゃうもん。「漫画家やめます。あなただけよ」とかいって(笑)。

ーーそういう方は、いまいない?

萩尾 いない。

ーー女性の漫画家の方の周囲の男性っていえば編集さんぐらいですものね。

萩尾 そうです。しかも全部、子持ちの編集さんばっかり。たいてい結婚しちゃってる。

ーーお見合いは?

萩尾 お見合いという手もありますね。でも、ごはんもつくってくれないような奥さんと結婚しようとするような人ってあんまりいないと思う。

―そうですね。では、ここ当分、漫画一筋ですね。



【インタビュー:SFについて】



異世界への門/萩尾望都のSF漫画には異世界がある

発想の自由さがSFの魅力

ーー最初はどのへんのSFを読んでらっしゃったんですか?

萩尾 最初SFっていうのあんまりしらずにいわゆる秘境冒険ものと思って読んでたわけ。ウェルズとかヴェルヌとか。古典SFっていうのはシリーズになってでるでしょう。少年少女なんとかって、シャーロックホームズとかルパンなんかと一緒に。それで単純に読んだわけ。中学時代は『中学生コース』をとるわけね。そうすると私はしらなかったけど、その当時っていうのは、それに眉村卓さんとか豊田有恒さん、光瀬龍さんなんかが、少年向きのSFをずっと書いてらした時期らしいの。それを私はずいぶん読んだらしいんです。眉村さんの「謎の転校生」なんてね。そしてたまたまアイザック・アシモフの書いた「宇宙気流」にぶつかったんです。タイトルは「惑星SOS」になってたけど、それ読んでこけたんですね。完全に。SFとはこういうものかって。

ーーそれはどういことですか?

萩尾 ものすごい超未来を扱った話だったんです。地球なんて、はなからでてこないわけ。いわゆる全然次元を別個にして、とても遠いところから”あ、あれが地球”っていう感じで動いているんですよね。いわゆる時間的にも空間的にも違う世界を描いているっていうかなあ。

ーーそれまでは、手塚治虫先生などの作品は、やっぱりある程度SFと思って見ていたんでしょう?

萩尾 そうですね。「鉄腕アトム」とかね。

ーー「宇宙気流」にショックをうけて、それからはSF三昧ですか?

萩尾 そうです。それから意識的にあさり始めました。大阪に住んでたころだけど、駅の近くに貸本屋がありましてね。ハヤカワのSFシリーズが、ずらっと並んでたわけですね。それを片端からずっと読んだわけです。1冊25円か35円。1日遅れると10円増しになるんです。

ーーそのシリーズをぜんぶ読破ですか?

萩尾 いや、その書店にあったものだけ。「月は地獄だ!」とか「大真空」とか「300:1」とか「第四間氷期」とかね。

ーー「呪われた村」なんかは?

萩尾 それはもうちょっとあとになってから読みました。

ーー日本のSF作家でいちばんおすきなのは?

萩尾 小松左京さん。

ーー作品は?

萩尾「継ぐのは誰か?」とか「果てしなき流れの果てに」とか「日本アパッチ族」とか…。

ーー光瀬龍さんはやはり「百億の昼と千億の夜」が最高ですか?

萩尾 そうですね。

ーー日本のSF作家に、女性がいませんが?

萩尾 時期が熟していないからじゃない? これからで るんじゃないかと思う。だって今度の「奇想天外」かなんかで新人賞とったのは、若い女の子だし。

ーー女性にとってSFって、ちょっととっつきにくいようなところがあるんでは、と思うのですが、そのへんはどうお考えですか?

萩尾 そこが私にはわからないところで……。SFっていうのは、波乱万丈というか、チャランポランというか、奇想天外なとこあるでしょう。それが私はすきなんだけど。だから突然、亜空間ワープ航法で、どこそこの星へいきましたっていったって、むりとか想像がつかないという人には、やっぱりわからないのか、っていうしかないなあとも思うけど……。 私はとにかく発想が自由になることのほうがすきなんだけど。

ーー現在SF漫画を描いていらして、ファンの反響は、どうですか?

萩尾 わかんないです。まだ。

ーー以前、どこかの本でファンにいわゆるSF入門ぐらい読んでくれ、というようなことをおっしゃってましたけど?

萩尾 あのころは、つまり自分が読んでてしってるもんで、どうしても意識が先走っちゃうのね。しってる知識はつかいたいし。でも、考えてみれば、全然SF読んだこともない人にいきなり読ませても、ほんとうにわかんないんですね。SF入門読む人っていうのは、やっぱりSFに相当ひたってる人でしょう。だからちょっと前後が逆なんだ。考えてみると…。さきにSFを、おもしろいと思ってもらわなきゃ、しょうがないんですね。

ーーでもSFファンと漫画ファンがつながってるみたいなところがありますけど?

萩尾 そうですね。結局、諸外国のSFを最初に漫画家がSFの漫画にしたから。だから漫画から入っていってSFファンになった人が多いんでしょうね。

ーー近ごろ、おもしろいSFはありましたか?

萩尾 私、最近やっとベスター読んだんですよ。「虎よ、虎よ!」 やあ、おもしろかった。迫力ありますねえ。それですぐ「分解された男」読んでみたわけ。おもしろいねえ。「分解された男」はヒューゴー賞とったって聞いて……。で、この年に他に何が出版されていたかというと、クラークの「幼年期のおわり」とスタージョンの「人間以上」があったでしょう。あの2つ、すごい名作じゃないですか。あれといっしょで、賞をとったって聞いて、すごく興味があったの。それで読んでみたら、いや、なるほどなーっていう感じで。

ーーハインラインの新作「愛に時間を」はお読みになりましたか?

萩尾 まだです。

ーーその前の著作「悪徳なんてこわくない」は?

萩尾 おもしろかったです。

ーー昔からハインラインはすきですか?

萩尾 はい、すきです。「異星の客」とか「ポディーの宇宙旅行」あのへんがすきなんです。

ーーニューウエイブはどうでしょう?

萩尾 おもしろいのも、わけのわからないのもあって...。

ーーいろいろうかがって、SFに精通してらっしゃることがわかりました。今後もすばらしいSF漫画をお描きください。



【インタビュー:ファンタジー】


夢みる心を求めて/萩尾望都はファンタジーの心を運んできた

ファンタジーってカタカナなのよ

ーーファンタジーとはいったいなんでしょう?

萩尾 西洋菓子かな。クロワッサン、バニラアイスクリーム、パンプキンパイ......そう、ファンタジーって、カタカナなのよ。うーんそして科学的なことをすっとばした奇想天外なこと。実際にはない哀しいこと、そして楽しいこと。

ーー哀しさ??

萩尾 そうだね。ものすごく奇想天外なもの架空にちがいないもの。つまり、ナイってわかってみたされないことを、のぞんでることの哀しさ。

ーーうーん、もっと具体的に。

萩尾 そうねえ、たとえば日本の山奥の村を舞台にファンタジーが描けるかっていうと、やっぱり描けない。だって、いくら魔法だ妖精だっていっても、なんとなくごはんのイメージがつきまとっちゃう。妖精っていっても、 座敷童子のイメージになっちゃう。ほら、なんか現実が見えちゃうじゃない。

ーー少しわかってきました。

萩尾 それに、わたし基本的に西洋の子どもってかわいいと思う。ファンタジー的っていうか……。それがどうしておとなになるとあんなになっちゃうのかな。日本の子どもはかわいいんだけど、おとなもかわいいのね。なんだか判別がつかないんだわ。

ーーそうなると、日本ではファンタジーは育たない?

萩尾 そうねえ。たとえば、日本の児童文学のファンタジーってスケールも大きくないからものたりないですね。

ーーじゃどんな本をお読みになって、ご自分のファンタジーを育てられたのでしょう?

萩尾 どういうところからくるのかなあ。グリムとかアンデルセンとか、神話とか民話とかがすきで読んでた影響じゃないかな。

ーー小さいころからかなり読んでらした……?

萩尾 そうですね。

ーーどんなものがいちばんすきでした?

萩尾 やっぱりグリム童話がいちばんすきだった。残酷な話もあったけど、やっぱりおもしろかった。ほかには「赤毛のアン」とか。少女期にね……。ポーターの「赤髪のマーガレット」とか「少女パレアナ」とか……。

ーー最近お読みになったものは? いま、トールキン の「指輪物語」などが、ハイファンタジーとして、ブームですけれど?

萩尾 「指輪物語」は、まだ読んでない。「ナルニア国物語」は、途中まで......。

ーーでは、さいごの質問、いま魔法で1つだけ願いをかなえてあげますっていわれたら?

萩尾 理想的なダンナ!! が……。



【インタビュー:「ポーの一族」について】


新しき伝説/吸血鬼を甦らせた萩尾望都

キリアンはもう……

ーー「ポーの一族」はどのようにして生まれたのかしら。バンパネラはどこから……。

萩尾 なんだろう。わたし「11月のギムナジウム」を描いた前後”子ども”にちょっと凝ってしまって、特にこましゃくれた子どもがすごいすきだったのね。で、子どもっていうのはすぐおとなになっちゃうでしょう。つまらないなあ、と思って。年をとらないこと、つまりおばけとか吸血鬼とか、死んでしまった人の怨念とかいろいろ考えているうちに吸血鬼がでてきたのね。

ーー年齢がとまる、ということが重要だった?

萩尾 そうですね。だから、子どもを吸血鬼にしちゃったわけ。

ーー以前は、吸血鬼というとだいたいドラキュラとかカーミラとかで、バラをからす吸血鬼が、「ポーの一族」 ではじめて有名になったように思いますが、そういった知識はどこから?

萩尾 いや、わたしは吸血鬼に関する本というのをほとんど読んでなかったの。なぜ吸血鬼のことをしってるかっていうと、小学2年生のときに読んだ横山光輝先生の 画からなんです。それから、ときどき『少年マガジン』のさし絵なんかに載ってたりするじゃない。悪魔特集とかね。そしてもうひとつ、石森章太郎先生の「きりとばらとほしと」あれがやっぱりオムニバスの吸血鬼の女の子の話でしょう。ああいった話っていうのはおもしろいなあと思ったわけ。つまり、若い女の子のままでずっと生きていく。そして、吸血鬼がバラを持つとそのバラが散るという話がある......。

ーーバラの話がでましたので、バラのジャムの話をちょっと……。紅茶にバラのジャムをいれるというのは

萩尾 いいえ、紅茶にはロゴスキーのジャムがいいな。

ーーでは、話をもどして「ポーの一族」もオムニバス形式ですが、やはり石森章太郎先生の作品がきっかけですか?

萩尾 一応念頭にはおいてたの。こういうこともできるんだってことを覚えてて……。

ーー「ポーの一族」は、まだ完結という形にはなっていませんが?

萩尾 いや、もうおわりました。

ーーもう描きませんか?

萩尾 もう描かないんです。

ーーじゃ”キリアン”はあのまま?

萩尾 どうするのかしら。わたし、責任もてない。

ーー「ポーの一族」ファンとしては、さびしいかぎりです。もしかしたら、という可能性はないのかしら。

萩尾 多分、いまのところはぜんぜん……。

ーー話はわからないってことになっちゃいましたし、アランは死んじゃったようだし。エドガーひとりずっと生きていくわけですか?

萩尾 そうですねえ。

ーー話はかわりますが、エドガーの顔がつくられたきっかけは?

萩尾 まずこまっしゃくれた子が描きたくて……。石森章太郎先生がむかし「少年同盟」っていうの描かれていたのね。主人公は日本男児なんだけど、あいぼうにイライザっていうロボットかなんかでてくるのね。それが、 すきだったの。あの人の目がつりあがってるのがね。

ーー三白眼に近い...(笑)。

萩尾 そう、三白眼。

ーーエドガーの目は、三白眼……?(笑)。

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