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【新版「エルメスの道」ELLEインタビュー】
2021年03月08日
竹宮惠子:71歳

https://www.elle.com/jp/fashion/fashion-column/a35...

(以下は一部抜粋)

――竹宮先生は、少女漫画という枠にとらわれず、壮大かつ普遍的なテーマを描いてこられたと思います。「女性漫画家」と意識して作品を描くこともあるのですか?

竹宮:自分自身を「女性作家」とは意識していません。私は女性差別が今よりも強くあった時代に漫画家になりましたが、常に「差別はない」と思って感じないようにしてきました。差別というのは、相手がすること。露骨になにかされても、「この人は何を言っているの?」と流していた感覚でしょうか。女性の風貌をしているので、女性として身なりを整えていたほうが女性に対してもウケがいいとは思いますけど(笑)。

竹宮:ただ人に言われて気付くのですが、自然に滲み出てくるものはあるのかなと思います。『地球(テラ)へ…』という作品は少年誌に掲載していましたが女性にしか描けないと言われましたし、『風と木の詩』も心理学者の河合隼雄さんが「女性の内界を描いている」と仰っていた。でも私としては、過去の自分の作品でも男女をしっかり分けた作品は少し違和感があります。人間は、人間でさえあればいい。エレガントと呼ばれる人に、性別や年齢が関係ないのと同じ。ひとりの人間としての魅力が大切なのではないでしょうか。

――長い歴史の中で多くの「扉」を開け、挑戦を繰り返してきたエルメスと竹宮先生のオデッセイ。常に前進し続ける、その原動力はなんでしょうか? また、革新を続けながら自らのスタイルを築いてきたアティテュードは、エルメスと共通する部分があると思われますか?

原動力は、「生きていて楽しい」と思えること。世界は魅力的で、興味を沸かせてくれるものだと、きちんと分かっていることが大切だと思います。そういった考えは、エルメスさんとの共通点と言えるかな。この「世界」とは現実の世界だけでなく、イマジネーションも含めたすべての世界のこと。それらすべてが、自分のものと考えたいです。私の場合は、自分が創造する漫画の世界でもあるし、「ジャン=ルイ・デュマさんだったらきっとこうだろうな」という想像の世界も含めて、さまざまな世界を愛している。まず興味を持っていなければ、扉を開けるどころか見つけることもできないと思います。

なにかを描くときはいつも、自分が伝えたいと思うメッセージを込めています。伝えたいと思うものがなければ、ただ手を動かしているだけになってしまいますからね。旧版『エルメスの道』では職人へのリスペクトや好奇心と遊び心など、エルメスさんと私が伝えたいものが一致していて本当に幸せな仕事でした。

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