【竹宮恵子の世界(LOVELY COMICS)☆Keiから みなさまへ☆】
竹宮恵子の世界(LOVELY COMICS)
出版社:まんがはうす
発行日:1977年12月10日
資料提供:
https://medaka.5ch.net/test/read.cgi/gcomic/165811...
☆Keiから みなさまへ☆
近頃つくづく思うことなど……
(図版に続いてテキスト抽出あり)
☆Keiから みなさまへ☆
近頃つくづく思うことなど……
私は漫画を描くために生まれたんだ!と、ひとりぎめした16才の春。
今から思えばそれは全く何の根拠もない若気の思い込みだったと思うのです。
でもその時、決心ができたということが、私にとって最大の幸運(ラッキー)でした。
誰に話すともなく(話すとバカにされそうだったし、親の反対もむろん考えられた)ひとりニヤつきながら自分の未来を想像し夢ふくらませ…これ以外に自分の生きる道はないとさえ思っていた。何の保障もない自信に頼っていられた。
──そして次の幸運(ラッキー)は、私がまだ18才、その決心のぐらつかないうちに、この道に踏みこむことができたということ。大学を退学、生まれ故郷を捨て、親たち(おそらく娘がそんな奇妙な職業につこうとは夢にも思わなかったろう)の恩をふりすて、やりたい!と思うままに、この世界にとびこめたこと。
……でも、そのあとには幸運(ラッキー)ばかりではありませんでした。決して誰にでも受け入れられる漫画を描くわけではなかったし、読者の説得はむろんのこと、編集者を説得することも至難のわざでした。スランプにつきあたって文字どおり、四苦八苦の時期もあったのです。しかし、あまりにも迷わず、あまりにも早く前進してきてしまった私は、知らぬうちに、背水の陣をしいていた。大学卒の資格もごく平凡な娘のするたしなみも、みんな投げすてて、私は漫画のほうだけをむいていました。
前進! うんざりする低迷(スランプ)の中で、自分の前だけが開けているのをそのとき悟ったのです。
──だから私はふりかえることはしても、戻ることはしません。前にあるのは、成功と失敗のどちらかしかない。どんなにコツコツと技術と知識を身につけても、前に一歩をふみだすかぎり、失敗しないという保障はない。あしたには、どんなひどい失敗が待っているかもしれない。読者の方々の期待がどれほど大きかろうと、過去の成功がすばらしかろうと、まったくかかわりなく……。だから宣言します。
私は、いつでも、大失敗作を描くでしょう!と。
竹宮恵子
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