【竹宮惠子:自分語り】
1998年
竹宮惠子:48歳
【ウテナ対談:幾原邦彦&竹宮恵子 】より
竹宮 だからラストでウテナが忘れられた存在になっちゃいますよね。ああいうのも現実世界にありがちだと思うし、
人は昔の事実を都合のいいようになかったことにしちゃうみたいなところあるじゃないですか。そういう比喩をすごく感じて、面白かったです。
竹宮 別に女の子の話、男の子の話って思わずに描いてるからだと思うけど。ジルベールにしろセルジュにしろ、男の子であっても読者が同化できるんならそれでいいし。だからそういう意味で遠慮したことはない。
「これって女性蔑視のセリフじゃないっ」とか良く言われるんですけれども、「だからなんなの」みたいな(笑)。
竹宮 私が「風木」を描いてた時期には、まず一線を越えるか越えないかが問題(笑)。でも私の頭の中では純潔に全然興味がなかったので、最初から超えちゃってて、そこから始まったっていう。それがわかんないようじゃ何も語れないっていう感じで。
幾原 あと、作者が男性の場合、ものすごい
特殊能力があったりする女性キャラだと、女神とか、巫女さんにしたくなるんですよね。社会の中で、巫女さんのポジションだと、男性はホッとするんですよ。だから僕自身、それにあらがいたかったのかも。
竹宮 私も巫女だと言われたことがあるぞ(笑)。全然そうじゃないのに(笑)。その頃、私って現実感覚がなくて、それこそ切符も買えない奴ですよ。社会のことを見てない。だから誰でも巫女さんになれますよ、閉じこめておけば(笑)。
竹宮 たぶん、ごく小さい頃にすっごく自意識のかたまりだった頃があって、それを捨てないと生きていけないほどだったので、全部を含む自分を設定した人なんです。私、自意識はツライので意識したくない。持っていられるほうがエライと思うぞ…違うかなあ。
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ウテナ対談:幾原邦彦&竹宮恵子 】
2007年
竹宮惠子:57歳
【「地球へ…」新装版発売記念インタビュー】より
竹宮 SFがもともと好きという人間ではなっかたのですけど、若い頃、一緒に大泉サロン(少女マンガ家のトキワ荘的存在)というところで、みんなとセッションしていた頃に、いろいろ教えてもらったんですよ。そういう人たちが推薦するものにまちがいはないので、ラッキーな事に名作ばっかり読めたんですね。でも、
私は何度も読み返して作品世界に浸るというよりも、その中から、なにかエキスをもらって、別の形に育てたいというほうでした。
『地球へ…』に関しては、『スラン』(SF作家A・E・ヴァン・ヴォークトの超能力者SFの古典名作)などの影響を挙げる方もいます。たしかに、主人公のジョミーという名前は使わせていただいたりしてますから。
竹宮 もうひとつ、『変奏曲』という作品があるんですが、増山法恵さんという人が壮大な原作を持っていたので、それを寝かせておくのはもったいないと描きはじめたのですね。そういうような
原作・原案がいて、それを再現するというのも、私がはじめちゃったことですね。いまではCLAMPさんみたいに、みんなで分担して描くという形もできてきましたけど、
当時は少女マンガではなかなかできなかったことだったんですよ。原案協力とか、原作と出すだけでも、許されなかったんですね。 *参照【
原作・原案ものは私がはじめちゃったことですね】
(質問者)──あきらかに、この作品がそういう(SFの戦闘やメカなどの)描写をやりはじめたものだったんですね。
それまでの少女マンガでは在り得ませんでしたね。
竹宮 誰かが描かないと、描かなくていいってことになっちゃうんですよ。
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「地球へ…」新装版発売記念インタビュー】
2017年
竹宮惠子:67歳
【対談:竹宮惠子&仲谷鳰】より
竹宮 BLという言葉で区分けすると「『風と木の詩』はBLではないよね」と言われることもあります。ただ、今に繋がるものの可能性を広げた作品だったと思っています。
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対談:竹宮惠子&仲谷鳰】
2021年
竹宮惠子:71歳
【新版「エルメスの道」ELLEインタビュー】より
竹宮 なにかを描くときはいつも、自分が伝えたいと思うメッセージを込めています。
竹宮 自分自身を「女性作家」とは意識していません。私は女性差別が今よりも強くあった時代に漫画家になりましたが、
常に「差別はない」と思って感じないようにしてきました。差別というのは、相手がすること。露骨になにかされても、「この人は何を言っているの?」と流していた感覚でしょうか。
竹宮惠子:71歳【新版「エルメスの道」ELLEインタビュー】より
竹宮 ただ人に言われて気付くのですが、自然に滲み出てくるものはあるのかなと思います。『地球(テラ)へ…』という作品は少年誌に掲載していましたが女性にしか描けないと言われましたし、『風と木の詩』も心理学者の河合隼雄さんが「女性の内界を描いている」と仰っていた。
全文はこちら【
新版「エルメスの道」ELLEインタビュー】
「少女漫画でSFの分野を切り開いたのも自分」のように語っている竹宮惠子:70歳
【読売新聞「時代の証言者」2020年5-6月連載】より
資料提供:
https://medaka.5ch.net/test/read.cgi/gcomic/162528...