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【インタビュー:ささやななえ】
ぱふ1982年8-9号「特集竹宮恵子part2」

ぱふ1982年8-9号「特集竹宮恵子part2」
発行日:1982年08月01日
出版社:雑草社


資料提供
https://medaka.5ch.net/test/read.cgi/gcomic/163189...


表面には出さない強さで戦う人
ささやななえ(漫画家)
(画像2枚に続いてテキスト抽出あり)





表面には出さない強さで戦う人
ささやななえ(漫画家)

ーー竹宮さんと知り合ったのはいつ頃ですか? きっかけは?

ささや 金沢の坂田靖子ちゃんと私が文通してた頃があったんです。坂田ちゃんもマニアだったから、竹宮さんたちがいる大泉へ押しかけて行ったということを聞いて、うわァいいな、いいなって言ったら住所と電話番号を教えてくれた。それで私も押しかけて行って、居候を決め込んだの(笑)。もう10年位前です。

ーー初めて竹宮さんに会った時の印象はどうでしたか?

ささや すごく静かな人でした。当時は。大泉の家に着いたその日、竹宮さんはノンタン(増山のりえさん)の所へ遊びに行っちゃってて(増山さんの家がすぐ向かいだった)、いなかったの。大泉の家に泊まった次の朝、起きたらケースタンがこたつの前にちょこんと座っていた。私はもっと男っぽい人かと思ってたのに。中性っぽいというか少年っぽい感じがする、線が細そうな、静かな人がちょこんと座ってる。それで挨拶をしたら「ああ、どうも」ってゆっくりした感じ。こちらも感激はあるにはあるけど、もっとミーハー的な感動があるかなァと思ってたのに、あにりにも静かな初対面でね(笑)私も「あ、どうも」って、それで対面が終ったの(笑)。殆ど覚えてないのよね、話すことは話したんだけど、とにかく静かでねェ。私も仕事を持って行ってたし、しょっ中みんながネームを考えてる状態で、話す時もみんなで集まってワイワイガヤガヤやる方だったからーーなかなか二人でじっくり話すという機会はあんまりなかったような気がする。

ーー竹宮さんに会う以前、ささやさんなりの竹宮恵子像があったと思いますが、実際に会ってどうでしたか?

ささや あの人、似顔絵と全然違うんだもの。あの頃の似顔絵ってメガネかけてて...ああいうタイプなのかなと思ってたら、全然似ても似つかぬ人が座っているから、びっくりしちゃったのよね。

ーーその頃のエピソードは?

ささや 竹宮さん本人はそそっかしいとよくいってるけど、そんなそそっかしくないんですね、あの人は。わりと落ち着いて考えて、だからドジはしないんですよ。しっかりしてるの。みんなで何かをやるとか、旅行へ行く時とか、リーダーシップをとるのもケーコタンなんですよね。だからエピソードはね...あっ、二人で散歩に行って、私が小さな穴に落ちて悲鳴を上げたことがあるの。それを見てケースタンがすっごく感心したように言うには「私は黙って落ちる」って。それを聞いて、あの人の性格がわかったような気がしましたね(笑)。

ーーよく考えてから行動する人なんですか?

ささや うーん、失敗しても恐れない人ね。ケロリっとしてる、失敗しても苦にしないの。非常にいいなァと思うのよね。

ーーかなりおつき合いが長いですが、竹宮さんとどういうとこが合うんでしょうか?

ささや 深く考えたことないですね。付き合うのに。ただ、気が合うことは合うんでしょうね。ケンカするほど議論したことないんだけど、議論する必要が無いって感じ。さっぱりしてるの、ケーコタンは。私もケースタンも水瓶座だけど水瓶座って干渉されるのを嫌うのね、そういう所が似てるのかな。

ーー今のおつき合いはどんな風に?

ささや 全然変わんない、前と同じ。でもお互い忙しいでしょ、だから会うこともめったにないので電話で連絡し 合ってるって感じなんだけど。

ーーそういう時はどんな話を?

ささや 仕事のことが多いの。仕事のことでこういうのをちょっと聞きたいとか、うちの(編集者のご主人)に用事があるとか。その話が終ってから、世間話になる。

ーーおいしいものを食べに行きましょう、とかいうことは?

ささや あります。大概あの人のおごりなんで、悪いなと(笑)。

ーーアシスタントに行ったことは?

ささや ありますよ。居候してた時にね。私は実際のアシスタントの経験っ 無いんです。大変そうだから手伝ってあげようという感じ。代筆も一度やってるんですよ。ケーコタンがその時の原稿を見ても分らない位みごとな代 筆。私もやれたんですよ(笑)今はタッチが全然違っちゃったというか、筆圧が無くなっちゃったんですよね、私。その原稿は「ホットミルクはいかが?」だったんですけど彼女はカンヅメになって腕が痛くなって描けなくなっちゃった訳。それで主線だけでもやろうかということになって、主線3、4枚かな、やったんですよ主人公のを。目だけはその作者の個性が出るところだから、目と口だけは彼女がやったの。今見て、よく描けたものだなァと(笑)。

ーー外国へ一緒に旅行したことは?

ささや 一緒というのは無いですね。みんな別々だったんです。彼女が行った時、私は行けなかったし、私が行った時は彼女たちがすっごく忙しかった。

ーーいかにも竹宮さんらしいと思った行動や発言を見たことは?

ささや さっきの穴に落ちた時の話。あの時は全部悟ったって感じがしたのね。あっ、この人はこういう感じの人なのかって。前々から頭のいい人だな、とは思ってたし、作品に対するエネルギーもすごいなとも思ってた。どういう性格かってことがいまひとつ、つかめなかったの。それがあの穴の一件で、なんとなくつかめたような気がするの。

ーー竹宮さんの作品で、お好きな作品 は?

ささや「空が好き!」が好きでねー。あれはほんと、面白かったなー。「白い水車小屋」も好きだし。「COM」でデビューした時も、ヘェーって思ってた。女なのに私も少年まんがを描きたかったくちだから、うわあ似たような人がいる、どんな人だろうと思って。「姫」の話、それから「変奏曲」と初期の作品は殆ど好きですね。「つばめの季節」、あの人の日本物って好きなの、「ここのつの友情」も。

ーーキャラクターでは、どういうキャラクターが?

ささや「変奏曲」のウォルフが好きね。ああいうタイプ。好きだな。要するに黒髪が...(笑)。それと優等生タイプというのが好きです。

ーー竹宮さんらしいキャラクターだと思うのは?

ささや どれを見ても竹宮さんだなと思うけど、特にセルジュとジルベールなんか典型的な竹宮さんのキャラクターじゃないかな。

ーー「風と木の詩」を発表以前に見せてもらって、どうでしたか?

ささや うわァいやらしい、とか(笑) でもいいわとか(笑)。そんな感じでした。

ーー竹宮さんは家とか仕事場の設計をなさいますよね。

ささや インテリアとか設計することが好きみたい。部屋の中をこうしたいとか、そういうのが好きなんですよね、あの人。私、竹宮さんの家にめったに行かないの。だからたまに行くと、もうすでに部屋が変わっている(笑 )。

ーー竹宮さんはモテたそうですね。

ささや モテるんですよ、ホントにあの人は。さっぱりしてるから男の人に好かれるし。ただなぜか今は相手の年齢層が高くなって、おじさんばっかり来る(笑)。ロリコン的なのを好きな人が「いいなァ」といってきたり(笑)若いでしょ、彼女。不思議なムードを持ってるから。あの人は結婚してもちゃんとやってけるんじゃないかな、しっかりしてるし。ただ本人は仕事の方が好きだと言ってるから。

ーーご本人は「恋愛にのめり込めない」とおっしゃってましたが。

ささや そうなの、淡白なのよね。あの人が本当に好きになったのはまんがだけだと思う。でもそこまでのめり込めるってすごいなー、いいなー。今の若い子たちはまんがと生活を切り離すことができる人たちが多いけど、我々の年代というのは切り離せないタイプが多いのね。だからどっちかを取らなければいけないという考え方をついしてしまう。私も本当はどっちかを取るタイプでね。なぜか私ってまんがを取れない人なの(笑)。

ーー竹宮さんとつき合ってきて、昔と今の大きな違いとかありますか?

ささや カンロクがついてきた(笑)。それよ、なんたって。

ーー竹宮さんはすごい人気を得ていますが、そういう状況は予想できましたか?

ささや 予想できた。だって大泉の頃からマニアはすごかったもの。当時は男の人がわりと多かったけど。アンケートには響かなくても、隠れたファンはずい分いたんですよ、昔から。

ーー竹宮さんのまんがのどういう点に注目してますか? また、これから期待することは?

ささや 何の心配もなくやっていけるんじゃないかな。淡々として描いてるでしょ。うーん、殆ど心配してませんね。こういう答え方は冷たいかなァ。

ーー人間・竹宮恵子と作家・竹宮恵子の二方面からの感想を。

ささや あの人はなかなか面白い人なんですよ、何でもやるんです。今は殆どやらなくなったと思うんだけど、料理を作らせると上手い、人形を作らせても上手い、花を生けさせても上手い。何でもやれるの。こういう人間、いるの!?って感じで(笑)女の人がやれることは一通り上手くやれて、かといって女性的な作品を描くのかというと男性的な作品を描いてるでしょ。だから面白いなァと思ってね。

ーー竹宮さんと増山さんのコンビについては?

ささや そうですね、私たちにとっては竹宮恵子というのは一人じゃ考えられない、常にノンタンが側にいるから。あれはいいコンビです。ああいうコンビも面白い。今はケーコタン自身も色々しゃべるようになったけど、昔はあの人は外交的じゃなかったの。昔は表立って出るということがあんまり無かった。その部分を全部ノンタンがひき受けてたの。だからあの頃、何かで人と会うことがあると二人で出かけて、ケーコタンはあまりしゃべらない方だったんじゃないかと。そういう頃を知ってるから、どうしても話がノンタンの方に行っちゃうのよね。その後から知り合ってればケーコタンの方だけに話は行くだろうけど。だけど、しゃべる時はちゃんとしゃべりましたよ、彼女。
以前、編集部の方からいろいろ言われたことがあって、帰りのタクシーの中で思わずくやし涙が出てきたっていう話を聞いたんだけど、その時のタクシーの運転手さんが心配して色々親切にしてくれたっていう話でね、彼女は表面には出さないんだけど、やっぱり戦ってたんだなァと思ってね。まんが家って孤独なんですよね。仕事のことで口惜しいこととか、色々あるでしょ。それを(他の人と)分けることはできないんですよね。まんが家ってやっぱり精神的に強くないとやっていけないんですよ。強くないとね

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