【原法子：アシスタントチーフ】

【原法子：アシスタントチーフ】1979年07月

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少年少女SFマンガ競作大全集PART２
出版社：東京三世社
発行日：1979年07月25日

「少年少女SFマンガ競作大全集PART２」76-77ページ
竹宮恵子と接近遭遇
アシスタントチーフ
原法子

竹宮恵子と接近遭遇
アシスタントチーフ
原法子

私がケーコ先生のお顔を初めて拝みましたのが、S51年８月も半ばのある日。アシストの面接で仕事場を訪門した時のこと。部屋に足を踏み入れ、私は迷わず、“あ、先生だ”と思った人の方を向いた。しかし増山さんが声をかけた人は全然別の何やらかわいらしやかな女性。(アリ？変だぞ)迫力から言っても私が、あ、先生だと思い込んだ人よりも、この華奢な女性は、ずっと劣るではないか。(あ、わかった？マンガ家なんて変人の集まりなんだから、きっと私が何も知らないと思ってたぶらかそうという魂胆に違いないない)

竹宮　はじめまして、竹宮です。
原　原です。よろしくお願い致します
(アリ?本当にこの人が先生？)

どうやら、人を騙す程ゆとりのある状態ではないようだ。そうか！これが本物の“竹宮恵子”なのか！ここで初めて感動。
それはさておき、いよいよお仕事、

竹宮　原さんお願いします。
原　(あ！竹宮先生に名差しされた)はい！
竹宮　ここにベタフラッシュと、トーンね。
原　(うぎゃー！！『風と木の詩』の生の本物のゲンコーだ！)はいっ！……あのー
竹宮　？
原　フラッシュって何ですか？
竹宮　！
──間──
原　あのー (もじもじと)
竹宮　(ギクッ！)
原　トーンって、どう使えばいいんですか？擦って剥がしても、原稿にモヨーが付かないんですけど……。
竹宮　(シーン！)
[注](ちなみにトーンは、張るべき場所に乗せ、軽く擦ってからカッターでまわりを切り取るものです)

あの無知さの末に合格というのは、一体何だったのだろう。一重に先生の変人精神の賜物ではないだろうか？
(自慢ではないが、私が送った原稿は、他の最終選考に残った原稿の中で一番ヘタだった)
入社当時、先生がおセンベを食べるのを見ても感動していた私もさすがに２年以上もおりますとその感動は薄れ現実を直視。耳に入って来る、他の作家の所を流浪の旅を続けるアシストさんの話に、先生の人間性べム性を神社に奉りたい程「ああ、私達はケーコ親鳥の羽の下で暖く守られているのだなァ」と思う。
温厚平和主義者の先生。いつも増山さんに叱られて泣いている先生。仕事が終ると、とたんに元気が湧く先生。お返事だけは良い子の先生。今日も一緒に、REM睡眠で頑張りましょう！

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