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【対談:竹宮恵子・成田美名子】月刊ララ1978年6月号
【成田美名子先生のおへや】

資料提供:https://medaka.5ch.net/test/read.cgi/gcomic/166235...



月刊ララ1978年6月号
SFまんが大特集号
発行:白泉社
発売:集英社




「月刊ララ1978年6月号」139-140ページ
対談:竹宮恵子・成田美名子
SFの知られざる楽しみ
(図版に続いてテキスト抽出あり)





対談:竹宮恵子・成田美名子
SFの知られざる楽しみ

★あこがれの竹宮恵子先生を前にして、 少々緊張ぎみの成田美名子先生。竹宮先 生の方は、さすがまんが家生活X年、ベテランの余裕でありました。(かたわらには伊東愛子先生も一緒でした。まんが教室での写真は、くわしく231ページに出ています。見てね)


◆SFのだいご味など

竹宮「スターウォーズ」はあまり期待して見たわけじゃないんだけれども、パリで偶然行きあたって見ました。英語でしベっていて、フランス語の訳が出ていてね(笑)。まったく言葉はわからなくても、痛快さがありましたね。あまりにも設定が古いんですけれども、うそっぽいと言うのか、でもそこをばかばかしいと思ったら、もう楽しめないような映画でしたから。最近はおもしろいということより正確であることのほうが重要視されちゃったりする所がSFにもあるんだけれど、SFのだいご味とは、むしろ奇想天外さというかおもしろさなんだから、細かい所なんかどうでもいいんじゃない か、とね。

成田 キャップテン・フューチャーとか、スペース・オペラの大部分は、そういった所がありますしね。

竹宮 古いスペース・オペラなんだろうけれども、そういうのがあってもいいんじゃないかということですよね。

成田 私はばかばかしいのが好きなんだなあ。

竹宮 はじめは、どんな作品からはいってきましたか?

成田 それが、あんまり昔から読んでた人間じゃないんですよね。映画やマンガは別にして。

竹宮 ま、私は最初はマンガからなんですね(笑)。私は009だったから。

成田 私は総腕アトム。男のマンガの中ではSFが多かったようですね。

竹宮 でも、少し前までばったりとだえていたけど、最近はまたブームで、SFマンガをよく載せる某少年マンガ誌はマニア雑誌になってきちゃって(突)。私の場合はSFだからって特に意識して語の質を変えてるわけじゃないんですけどね。おんなじこと舞台を変えて言っているだけのことで。あなたもSFを考えているの?

成田 ええ…いろいろ考えてはいるんですけど。

竹宮 SFというのは、その人の思想とか宇宙観とかが、もろにあらわれる分野でしょう。少女まんが界で描かれるSFには、ほとんどそれが現われてこない。ちょっとさびしい気がしますね。


◆ブラッドベリのこと

成田 話は変わりますけど、昔はすごく星を見るのが好きで、まあ、星を見てる 飛びたくなるという感覚があって、それで自然とSFが好きになっちゃったというのがきっかけなんですよね。

竹宮 私は夢の中で空を飛んだことがない人で…ないというのは不思議なんですよね。考えてることはけっこうSFっぽいとは思うんだけれども。飛ぶのとは関係ないかな。
ブラッドベリの物では、「火星年代記」だけが好きで、他はあまり実感が持てなかったけれど。

成田 私も「火星年代記」が一番好きではあります。

竹宮 すごく短い文章で、情景描写ばっかりなのに、ロマンチックなハードさがある所は、とってもいいなあと思いますね。嘘っぽい所はたしかにあるけど。

成田 火星人というのが、そもそもね。

竹宮 ブラッドベリの場合は、だからどうしても、本当にSFかしらって思ってしまう。ファンタジーっていうのかな。日本人は、ことばの美しさにひかれる人が多いし、詩人ブラッドベリのファンが即SFファンだとは思えない。ブラッドベリのムードだけで、本質をつかまない で、「ああいうSFを描きたいんです」というのはどうも。これからSFまんがを志望している新人が増えてくると思うんだけれど、本質的にSFでなければならない、SFとして読んで楽しいなあと思うような作品を私としては希望したい。

成田「ジルベスターの星から」はすごく特別に感動しましたね。

竹宮 あれも、嘘みたいな所がたくさんある話でして(笑)、一見ハードに見えながらも、ムードがね。あの亡霊とかが、テレパシーで出来た映像なのかそうでないのかがよくわからない所もありましてね。「火星年代記」でも、そういえば、火星人の亡霊っぽいのが出てきたりするんだけれど。


◆砂の惑星

成田 ところで、「砂の惑星」のポールなんて、以前ちょこっと書いたことがありましたよね。あのお話は、どこがよかったのでしょう?

竹宮 まったく地球といった世界からはなれている所。全然別の宇宙でしょ? 名前もちがうし、星の持ち主がめいめい自分の星を統治している、銀河帝国的な良さがあって、あとは、砂漠とかいった環境のととに対して、生態学者的に調べている、こまかい所までしっかりしている所とかね。冒険小説的なおもしろさといったものも下じきになっているし、「ファラオの墓」なんかでも、全部自分で言葉を作っちゃう所とか、ああいう物語の作り方をお借りしましたね。設定のおもしろさでは、お話の展開は騎士流離譚(貴種流離譚の誤植?)の典型的なてんまつをふんでいくわけだから、さしてものめずらしくないんだけれども、舞台はすごくおもしろかった。たとえば、ポールが死んじゃった人のために泣くシーンがあるでしょう。死者のために涙を流すのは、水が貴重なその世界ではものすごく重要なことなんだっていう、この設定が切ないというのかな、感動しちゃうんだなあ。

成田 私の場合は、何とか紀行っていうのが好きなんですよね。アラビア旅行記とか。テレビでも特派員報告だとかだと飛びついて見るわけです。人が暮らしているのを見るのが好きなわけ。だから自分でSFを描く場合も、設定なんか自分でしっかりやってみたくなって、そっちのほうに自然と力が入っちゃうわけなんです。「闇の左手」では氷河の中の生活とか、「砂の惑星」では砂漠とか。

竹宮 私は話を聞いただけなんだけれども、「復活の日」というのは、環境が変 して、わずかに生き残った人たちが南極で住むというのには、興味がありましておもしろそうでした。そういった所で好きなんじゃないかな、SFというのは。だから意外と「サバイバル」なんかが好きだったりね(笑)。

成田 あれも一種のSFになるわけですね。

竹宮 そう(笑)。



「月刊ララ1978年6月号」231ページ
成田美名子先生のおへや
(テキスト抽出なし)





月刊ララ1978年6月号
 【SF大特集:未知の世界がまっている】
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