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【竹宮惠子:「トーマの心臓」を教科書に取り入れる】

資料提供:https://medaka.5ch.net/test/read.cgi/gcomic/167702...



竹宮惠子公式サイト「マンガの脚本概論」は初期5年分の成果を教科書として制作した本
■大学における研究活動についてのページ
https://k-takemiya.jp/MANGA_Studies/

■「マンガの脚本概論」の説明(拡大)




マンガの脚本概論
発行日:2010年04月10日
発行所:角川学芸出版





マンガの脚本概論29-31ページ


「巨人の星」に代表される劇画系少年マンガに影響を受け、少女マンガの間白に変化をもたらした例を挙げます。1970年半ばに発表された萩尾さんの『トーマの心臓』(図2-1-9)です。この頃、縦の流れの間白は広く、横の流れの間白は狭くする方法が主流になり始め、本作ではさほどの差ではないがそれを見て取ることができます。
このシーンは横長のコマを配置していますが、これは物語の流れを表そうとしているのではなく、主人公・ユーリのイメージしているものを絵として描いています。コマを無視しているがコマ枠を利用して読ませ、視線誘導をして詩的な絵を見せつつ読者の理解を絡め取るような画面を作っています。コマがなければ読者は好きなところから読むので、イメージと一緒に文章を正しく読ませる狙いもあります。
このコマ割りは非常に複雑な工夫をしていて、亡くなった少年の心の言葉を左側に、ユーリの心象表現を右側に並べ、それが同時進行しています。同時進行させたくてこういう構造にしたわけで、とてもテクニカルにコマを利用しています。果たして読者が、自分が思ったように読んでくれるかどうかはわからない。でも読んでくれるに違いないと信じて描いており、これはまさに「表現」と言ってよいと思います。



マンガの脚本概論46-48ページ


ここで、少女マンガの効果線をひとつ紹介します。
少女マンガはもともと、心情的変化は豊富ですが動きを主張することはほとんどありませんでした。そのため動線における変化が見られず、代わりに効果線が動き以外のものに派生し、心理などの目に見えない「動き」を表すべくさまざまな形で使われてきました。その特徴的な作品が「トーマの心臓」(図2-2-9)です。
少女マンガには、心情を表すシーンが多いという特徴があります。上段のコマはとても抽象的な表現ですが、登場人物の「心の拒否」を示す心情的なシーンです。その下に並ぶ3個のコマの中にそれぞれ人物がおり、中央のコマは間白の中に描かれている。これは左右の二人の人物の脳裏に、中央の人物のイメージが浮かんでいるということです。右のコマの背景は主人公が去っていく際の動きとともに揺れ動く心情を表している。下段では、空気がキラキラと輝く様を描いています。
目に見えない心情や空気感などを読者の中に誘導して共感させるため、文学が文字を通じて行ったことを少女マンガが同様に進めたために、これらの表現は「文学的表現」と呼ばれました。

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