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【萩尾望都 ロマンティックな変革者】

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別冊太陽〔少女マンガの世界2〕昭和38年-64年
出版社:平凡社
発行日:1991年10月17日




「別冊太陽〔少女マンガの世界2〕」80ページ
萩尾望都 ロマンティックな変革者
連続する衝撃とその波紋
(図版に続いてテキスト抽出あり)




萩尾望都 ロマンティックな変革者
連続する衝撃とその波紋

高度な物語表現の技法

萩尾望都の登場は七〇年代における少女マンがの質的変革を象徴する「事件」だった。昭和四四年「なかよし」増刊の『ルルとミミ』でデビュー、センスの良い恋愛コメディーで出発したが、外国小説のような趣の『雪の子』 で注目され、以後「別冊少女コミック」を主要舞台として、日常の何気ない少女の輝きを捉えた『小夜の縫うゆかた』、ドイツの学生寮に暮らす少年たちを主人公にした『11月のギムナジウム』、ファンタジー『精霊狩り』や超能力SF『あそび玉』など、少女マンガの領域を広げる短編を次々と発表する。四七年より中短編連作として発表された『ポーの一族』は、少年の姿のまま時を超えて生きる異色の吸血鬼譚として、少女マンガが男性読者にも注目されるきっかけとなった作品だ。この中で萩尾望都は、同世代の竹宮恵子らとも共通する「少年」という主題を、はっきりと打ち出してみせた。少女メリーベルをめぐる二人の少年、エドガーとアランの相克。さまざまな時代に彼らと出会った人々の、混乱と執着。それぞれに完成されたエピソードの一編一編が、全体として指し示す人の生命の有限性と想い出の永遠性というテーマは、少女マンガが単に少女の慰みや娯楽を超えた、現代日本が生んだ希有な物語表現の技法へと成熟しつつあることを証明していた。やがて萩尾望都は『トーマの心臓』『訪問者』へとその主題を発展する一方で、『11人いる!』『スター・レッド』『マージナル』などの長編SF作品では、性の役割に根源的な疑問をつきつける、現代思想の最前線ともなる課題を追求しはじめる。少女マンガのさまざまな技法を完成の域にまで高め、SFや人間関係のロマンへとその領域を広げ、少女マンガのみならず少年マンガや青年マンガ、実験マンガの描き手にまで、与えた影響は深く大きい。



別冊太陽〔少女マンガの世界 2〕】1991年10月01日
 【別冊太陽〔少女マンガの世界2〕もくじ】
 【米沢嘉博:少女マンガの現在・過去・未来】
 【西谷祥子:時代の中央線を歩け】
 【ささやななえ:三つの衝撃】
 【萩尾望都 ロマンティックな変革者】
 【竹宮恵子 意志と関係論】
 【中島梓:未曾有の時代】
 【進化するSF少女マンガ】
 【米沢嘉博:恋から始まる少女マンガの大冒険】

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