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【石田美紀・増山法恵「少女革命」が成し遂げたもの】

聞き手:石田美紀
インタヴュー日時:2006年09月29日
インタヴュー場所:吉祥寺
増山法恵(56歳)
本書において「インタヴュー」と表記されている


「密やかな教育〈やおい・ボーイズラブ〉前史」

出版社:洛北出版
発売日:2008年11月08日


「密やかな教育〈やおい・ボーイズラブ〉前史」322-324ページ

少女マンガにおける「少年愛」の仕掛け人
増山法恵



「少女革命」が成し遂げたもの

増山「二四年組」の影響はいたるところに見出せますね。人形作家さんとか、作品をみればすぐにわかりますよ。「この方は「二四年組」の影響を受けたな」と。聞けば、うん、って言うだろうな、って。最近はマンガ家を総括するドキュメンタリーのテレビ番組も多いですが、ディレクターや、プロデューサーなんかは、どっぷり「二四年組」に浸かっている方が多いですね。「いずれあの作家を扱いたい」って思って、制作しているのもわかります。なにかを訴えたいとか、作りたいという人には、若い頃に受けた強烈な印象というか、刷り込まれた、それこそ美意識みたいなものがしっかり残っている。だから、イラストを描く方とか、人形を作る方とか、ありとあらゆる分野に「二四年組」が築き上げた美しい世界が、どこにもここにも煌めいてますね。実際、二四年組が成し得た世界は、作家さんたちが到達させた革命なんです。わたしはうしろのほうで旗振り役を務めただけですが、それでも夢がかなったことは嬉しい。十代の頃に夢見たことが現実になるなんて、なかなかあるもんじゃないでしょ?
オタクと呼ばれる方たちがね、あれだけひとつの事に対してのめり込んでいるんだから、その集めたもの・知識・情念を、どこかでクルっと自己表現の場に変えてくれないかな、って思うんです。わたしの周りにもオタクの人はいっぱいいらしてね、お仕事は別にもっている方たちですけれど。で、いつもわたしは聞くんですね、それだけ知識を持っているのに、どうして表現しないの? あらゆるものを何のために集めているの?って。
わたしは集めたものを自分のなかに吸収して昇華させて、小説であれ、なんであれ、最終的には自己表現したい。作る時の自分の美意識の構築のために集めているのであって、その知識を固めて推敲を繰り返して「わたしはこうです」って、世の中の不特定多数の人々に言うために生きている。でも集めたところで止まっちゃう人が多い。集めることから表現することへの転換点がどこかにあってもいいと思いません? あまりの知識の豊かさにどなたも尊敬しているのですけど、なにかこう形にしないことが残念で、もったいないなあと思ってしまいます。

(文章中、一部敬称略)


294-303ページ
増山法恵「七〇年安保闘争」と「少女マンガ革命」
303-312ページ
増山法恵 少年を描くこと、1972年のヨーロッパ旅行
312-314ページ
増山法恵 1976年『風と木の詩』
314-319ページ
増山法恵 黒子に徹する―「変奏曲シリーズ」における共同作業
319-322ページ
増山法恵『JUNE』について
322-324ページ
増山法恵「少女革命」が成し遂げたもの

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